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9 嫉妬と再会!?

「――とまぁ、こんな感じだ」 「……」  全てを話し終えると、理人は自分の隣で黙って聞いていた瀬名の顔を恐る恐る仰ぎ見た。  やっぱり、引かれてしまっただろうか。いや、引かないはずが無い。だって、自分が逆の立場だったとしたらドン引きしてしまう自信がある。  こんな淫乱だったなんて知らなかった。やっぱり、上手くやっていける気がしないから別れよう。なんて言われたら、どうしよう……。  一抹の不安が頭を過り、理人は堪らず俯いて唇を引き結んだ。 「やっぱ、引いたよな……悪い、変な話して」 「いえ、別に引いたりとかは無いですけど……理人さんがビッチなのも、ドМなのももう知ってますし」 「おいっ! もう少しオブラートに包めっ」 「えぇ~、事実じゃないですかぁ」  瀬名はいつもの調子でヘラリと笑うと、理人の額にキスを落としながら髪を優しく撫でる。 「僕は、どんな理人さんでも大好きですよ」 「……」 「それに、そんな事で嫌いになったりしません。でも――!」  突然強い力で抱き寄せられ、バランスを崩した身体がぽすっとベッドに沈んだ。  そのまま押し倒されるような体勢になり、視界いっぱいに瀬名の顔が広がったかと思うと熱い口づけが降ってきた。  舌先が歯列をなぞり、ぬるりと侵入してくる。上顎を擦られると身体の奥に甘い疼きが生まれ、鼻から抜ける様な声が漏れ慌てて瀬名の身体を押し返し、口元を手で覆って睨み付けた。 「ん、ふぁ……な、んだよ……いきなり……っ」  抗議の声を上げると漸く解放されたものの、今度は首筋にチクリと痛みを感じる。同時に全身をゾワっとした感覚が走り抜け、背筋が小さく震えた。 「蓮さんの件はまぁ、過去の事だし仕方がないとして……。僕、透さんとそう言う関係だったなんて聞いてないんですけど!? 理人さん、『透とはそんなんじゃねぇよ』って言ってたくせに!」 「いやいやいや、それは昔の話で今は本当に何も無いからな?」 「……怪しい」 「アイツは未だにアレは夢だと思ってるはずだし、わざわざあの件を蒸し返すメリットなんてお互い無いだろう?」  あの日の出来事は理人だけしか真実を知らない。その事について透に確認したことは無いが、向こうも何も言わないから恐らく本気で夢だと信じているのだろう。  その事が原因の一端になったのかはわからないが、歴代の彼女達とは性生活が上手くいかないのだとボヤいていたのは何度か聞いたことがある。 「知らぬが仏って言葉もあるしな。俺はこれからも事実をアイツに話すつもりは無いし、そもそも忘れてるんじゃないか?」 「……もし、忘れて無かったら?」  不満げな表情を崩さずそう問いかける瀬名に、理人は一瞬言葉を詰まらせた。  その可能性を考えなかった訳ではない。だが、あの時の出来事を今更掘り返したところで良いことなど一つもないのだから考えるだけ無駄だと思っていた。  でも、万が一覚えていたら――? 「忘れて無かったとしても、関係ねぇ。俺はもう、お前意外と寝るつもりは無いからな」  そっと腕を瀬名の首に回して引き寄せ、軽く頬にキスをしながらそう告げた。  すると、彼は驚いたように目を丸くした後、困ったように眉を寄せ口元に手を当てて視線を逸らす。 「……っ、理人さん、そう言うの反則です」 「は?」 「あーもう、ほんっと可愛いなぁ。好きすぎて辛い!」 「ちょっ、待て! お前また盛ろうとしてるだろ! 今日はもうダメだって言ったばかりだろうが!?」 「わかってます。だから、少しだけで我慢します」  そう言うと、瀬名は理人のズボンの中に手を入れてきた。下着越しに尻を揉まれ、思わずビクンと腰が跳ね上がる。 「あっ、こら……! どこ触って……んんっ」 「大丈夫、ちょっとだけですから。ね?」 「やっ、んぅ……てめぇのちょっとだけは、ぜんっぜんアテにならねぇんだよっ!!」  この後、結局なしくずしにセックスへと持ち込まれ、理人が解放されたのは空が白み始めた頃だった。

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