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入浴中の木札を掛け、中に入ると檜のいい香りが鼻腔をくすぐった。
脱衣所は広くて清潔感があり、とても落ち着く空間になるように設計されており、隅々まで手入れが行き届いているようだ。
ただ、瀬名と一緒に風呂に入ると思うと、妙に落ち着かない気分になるのは仕方が無い。
瀬名の裸なんて何度も見ているはずなのに、未だにドキドキしてしまう。
普段は、どんなに身体が辛くてもよほどのことがない限り一緒に入らないようにしている。恥ずかしいし、色々と気まずい。
ドキドキしているのを悟られないように服を脱ぎ、広い洗い場で並んで髪を洗う。
ベッド以外で見る瀬名の身体はやっぱり筋肉質で、細身だがしっかりと鍛えられているのがわかる。
「なんですか?」
「……いや。お前、なんか見るたびに成長してる気が……」
ついつい視線が吸い寄せられてしまう。
「ハハッ、まぁ育ち盛りですから」
「嫌味か? 成人越えてんのにまだ、成長する気かよ」
若いって怖いなと、理人は苦笑を浮かべた。しかし、確かに羨ましい限りではある。理人もそれなりに鍛えている方だと思うのだが、瀬名には全く敵わないのだ。
(……悔しいけど、カッコイイんだよな)
無駄な肉など一切付いていない引き締まった体躯。程よく付いた筋肉の上に薄く脂肪が乗っていて、それがまた瀬名の美を際立たせる。
「僕なんてまだまだですよ。理人さんこそ、見るたびにエロい身体だなぁって思うんですが」
「なっ、は? それ、褒めてねぇだろ!」
「褒めてますよ。この、バッキバキに割れた腹筋とか……、線が細いのに胸板厚くて、腰が細くて――」
そう言いながら、泡立った指先で脇腹や腰の辺りを撫でてきた。それだけで背筋がゾクゾクとする。
「……っ」
「この乳首も……、小さくて可愛いし」
瀬名はそのまま両手で理人の両乳首を摘むと、くりくりと捏ねる様に弄り始めた。
「……んっ」
途端に腰に甘い痺れが走り、膝から力が抜けそうになる。なんとか耐えたものの油断すると変な声が出てしまいそうで、理人は慌てて持っていたシャワーを瀬名の顔面目掛けて勢いよくかけた。
「ぶわっ、ちょっ」
「……クソがッ」
うっかり流されてしまいそうになるのを堪え、理人は瀬名が怯んでいる隙にざぶんと湯船に飛び込んだ。
そのままザブザブと音を立てて浴槽を跨ぐと、瀬名から逃げるようにして反対側へと移動し、なるべく距離を取る。
これ以上触られていたら、どうなるかわかったもんじゃない。
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