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『えーっなにそれ、いいなぁ』
「!?!?」
突然、静かだった室内に女性特有の高い声が響き渡った。
状況が読めないまま二人は咄嗟にお湯の中へと腰を下ろし無意識のうちに息を潜める。
どうやらすぐ隣の浴室に数人の若い女性客が使用を始めたようで、赤裸々な恋愛トークが筒抜け状態で繰り広げられている。
生垣で仕切られているとはいえ、ここは露天風呂。壁なんてあって無いようなものだ。
幸か不幸か、相手側にはこちらの存在は気付かれて居ないようだが、理人と瀬名にとってはこの状況は大問題である。
「け、結構響くんだな。……そろそろ上がろう、か……ッ!?」
「――っ」
引きつった顔で立ち上がろうとした理人だったが、瀬名がそれを阻んだ。突然腰をがっしりと掴まれ、えっ!? と、思うより先に切っ先が押し当てられそのままグッと中に押し入って来る。
「ちょ、まっ……! おまっ、何考えてっ!」
「すみません。でも、理人さんが声を出さなきゃバレないから」
「そういう問題じゃ……っ、んんっ」
文句を言おうとする側から突き上げられて、理人はあられもない声を上げてしまいそうになり、慌てて浴槽の縁にしがみついた。
幸い、彼女たちはこちらの動きに気付いてはいないようだが、いつバレてしまってもおかしくない。
「ん、ぁっは、んん……ッ」
「すごい締め付け……この状況に興奮してるんですか?」
「や、ちがっ……ぁっふっ」
瀬名が動くたびに湯がばしゃばしゃと大きな音を立てる。
違うと言いたいところだが、瀬名には全てお見通しのようで、わざと突き上げるスピードを上げて来る。
少しでも声が洩れてしまわないようにと堪えているけれど、どうしても小さな嬌声が零れてしまう。
「ん、ん……ふぅ……っ」
「理人さん、唇噛んじゃダメですよ」
瀬名は動きを止めずに器用に片手で理人の口を塞ぐと、もう一方の手で乳首を摘まみ上げてきた。
「んんっ!!」
「はぁ……っ理人さん、すぐ隣に女の子がいるのに感じまくって、いやらしいなぁ……でも、凄く、そそられます」
瀬名は耳元で息を吹き込むようにうっとりと囁くと、耳の中に舌を差し込みながら、親指と人差し指できゅっと両方の突起を捏ねる様に弄ってくる。
こんなのはイケナイコトだとわかっているのに、体中が性感帯になってしまったかのようにどこを触られても気持ち良くて、ビクビクと体が跳ねる。
身体を支えていた腕に力が入らず浴槽の縁に凭れて、もう耐えられないと吐息を洩らす。極度の緊張でなんだか頭がくらくらする。
息をするのも苦しくて、視界が白く霞んでいく。
「あっ、あっ瀬、名……ぁっ、ダメ、も……っ無理……っなんか、クラクラする……」
「っ、ちょっ、待っ!!」
全身からフッと力が抜けた。遠くの方で瀬名が何か言っているような気がしたけれど上手く聞き取れない。
景色がぐるぐる回って見えて、視界が定まらない。
「理人さんっ!! しっかりして下さいっ」
瀬名の慌てる声を最後に理人の意識はプツリと途絶えた。
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