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※瀬名視点
(――はぁ、やってしまった)
瀬名は自責の念に駆られていた。
まさか理人が逆上せるとは思ってもみなかったのだ。
二人きりの旅行、しかも貸し切りの露天風呂。いつも以上に盛り上がってしまった結果がこれだ。
慌てて風呂から上がり、浴衣を着せて部屋まで運んだまではよかったものの、すっかり臍を曲げてしまった理人は、目を覚ましてから一言も口を利いてくれない。
今も、備え付けの座卓に座ったまま、外を眺め時折、深い溜息を洩らしている。
強引にコトに及んだのがマズかった。すぐ隣に、何も知らない若い女達が居たというのに……。今更後悔しても遅いのだが、それでも反省はするべきだろう。
瀬名は小さく咳払いをすると、意を決して声を掛けた。
「あの……理人さん」
返事はない。チラリと視線だけ向けられたが、それだけだ。完全に無視されているわけではないが、取り付く島も無いといった感じで、正直かなりキツイ。
「ごめんなさい」と謝ってみたがやはり反応は薄く、不安ばかりが大きくなっていく。
「本当に悪かったと思っているんです。……少し、調子に乗り過ぎちゃって。理人さんが声を押し殺して必死に悶えてるのが凄く可愛くて、エロいし、つい……」
瀬名の言い訳に耳を傾けながらも理人は視線を逸らしたまま窓の外を見つめている。
この沈黙が怖い。理人が今何を考えているのかがわからなくて、不安ばかりが膨れ上がって来る。
「理人さ……」
「酒……」
「え?」
「何本入ってる?」
やっと口を開いてくれた事に安堵しつつ、瀬名は慌てて冷蔵庫の中身を思い出しながら答えを返す。
部屋に入る前に買ったものが二本……いや、三本はあったはずだ。
「ビールが3本ですが」
「そうか……」
理人は徐に立ち上冷蔵庫か冷蔵庫からビールを二本取りだし、うち一本を瀬名に投げて寄越した。
「え? あ、あの……っ」
「んだよ、飲まねぇのか?」
「いえ、飲みます。けど……理人さん、怒ってたんじゃ?」
ビールと理人を交互に見遣る。理人はプシュッとプルタブを開けると一気に半分程流し込んだ。ごくり、と喉仏が上下に動くのをじっと見つめる。
「別に……怒っちゃいねーよ」
「じゃあどうしてこっちを見てくれないんですか」
「それは……」
瀬名の問い掛けに理人は一瞬黙り込む。そして、ゆっくりと瀬名へ向き直ると、どこか気まずそうな表情でボソリと言った。
「恥ずかしいだろ。あんなとこで最中にぶっ倒れるなんて……情けないっつーか……」
言いながら、残りのビールを一気に飲み干しはぁ~っと盛大なため息をついた。
そんな事を考えていたなんて……。
「すみません。僕のせいで」
「お前のせいじゃない。俺が勝手にのぼせただけだ。それに――あれはあれで凄く興奮たし……」
理人は苦笑を浮かべつつ、空になった缶をテーブルに置くと、瀬名の肩にもたれかかって来た。
「理人さ――」
「さっき、中途半端だっただろ? ココ……特別にシてやるよ」
「え?」
突然するりと股間を撫でられドキッとする。さっきというのはきっとアレの事だよな。そう思うと同時に、先程の行為が脳裏に蘇ってきて思わず顔が熱くなる。
「いや、でも……まだ夕方ですよ」
「嫌なのか? お前のムスコは嫌だって言ってないみたいだが?」
戸惑う間もなく浴衣の隙間から手を差し込み、煽る様に指先でなぞられれば中途半端に燻っていたソコは簡単に芯を持ち始める。
「んっ……ちょっと、理人さん……っ」
「別に、いいだろ?」
妖艶な微笑みと共に膝立ちになると、下着をずらしそのまま大きく口を開けて瀬名のモノを口に含んだ。
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