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「ん……」  眩しくて目が覚めた。障子が開けっ放しの窓から、強烈な光が差し込んでいる。 「今、なんじ……」  ぼうっとした頭で目を開けると、視界いっぱいに瀬名の寝顔があった。 「……っ」  スヤスヤと穏やかな寝息を立てて眠る瀬名の無防備な姿にドキリとする。  いつも自分より先に目覚めて朝食の準備をしている瀬名がこんな風に眠っているなんて珍しい。  本当に眠っているのか知りたくて、モソモソと布団の中を移動しそっと手を伸ばして瀬名の頬に触れてみる。 「……」  温かくて滑らかな肌の感触に安心感を覚えて、思わず頬が緩んでしまう。  瀬名は相変わらず綺麗な顔をしていた。普段は大人っぽい雰囲気なのに、こうして見るとあどけなくて可愛らしい印象を受ける。  ずっと見つめていたい気持ちを抑えてそっと手を引くと、瀬名が眉間にシワを寄せて小さく身じろいだ。 (起きちまったかな?)  ドキドキしながら様子を見守るが、瀬名が目を覚ます様子はない。  その事にホッとして、躊躇いがちに懐に潜り込んだ。  肺いっぱいに広がる瀬名の匂いに心が落ち着く。たまにはこういう朝があっても良いかもしれない。  そう思いながら瀬名の胸に頭を擦り寄せた。瀬名の心臓の音が聞こえる。規則正しいリズムを聞きながら再び微睡んでいると突然ぎゅうっと強く抱きしめられた。  驚いて顔を上げると、眠そうな表情の瀬名が理人の髪に鼻先を埋めてくる。 「おはようございます……」 「お、おぅ」 「へへっ、なんかこうしてると、新婚さんみたいですね」  照れたように笑う瀬名の言葉に理人まで恥ずかしくなってきた。頬が熱くなるのを感じながら瀬名の胸板に顔を埋める。 「へ、変な事言うなっ、馬鹿っ」 「ふふっ、照れてるんですか?」 「照れてねぇ」 「可愛い」  ちゅっと音をたてて耳にキスをされてぴくっと身体が小さく跳ねる。 「っ、お、おいっ! 朝っぱらから盛んなっ」 「キスしただけですよ? それとも、理人さんがシたくなっちゃった?」 「なっ……!」 「冗談です」  クツクツと喉の奥で笑われ、瀬名を睨みつけるが効果は薄い。 「もうっ、そんな怖い顔しないでくださいよ」  なんて言いながらふわりと羽のようなキスが額に降って来た。  啄むように、頬や目尻、そして唇に何度もキスをされる。 「んっ、擽ったい……」  文句を言いつつも、瀬名の行動を受け入れてしまう。瀬名の手が浴衣の上から脇腹を撫でてきてゾクゾクとした感覚が走った。 「は……んっ」 「くすぐったいだけ?」  しっとりと唇を吸い、甘さの滴る仕草で頬を撫でられる。 「ん……」  瀬名の指先が乳首を掠め、理人はピクリと身体を揺らした。 「ここ、固くなってる……」 「あっ、ばかっ……弄るなっ」  両方の突起を摘まれ、親指で捏ね回されると甘い疼きが広がっていく。 「は、……んっ、こ、こら……朝っぱらから……っ」  瀬名は理人の言葉を無視して首筋に舌を這わせてきた。 「んんっ、ぁ……っ」  首筋を舐められ、鎖骨を甘噛みされ、そのまま胸元に降りてゆく舌の動きに合わせて理人の呼吸も荒くなっていく。 「ふぁ……っ」  散々舌で虐められた胸元の飾りは赤く熟れ、ツンと主張し始めていた。そこを今度は口に含み、じゅっと吸われる。 「んんっ! は……ぁっ」  ビクビクと腰が揺れ、足の間に瀬名の膝が割り込んでくる。浴衣の裾を捲られ、太腿を撫でられて理人の瞳に生理的な涙が滲んだ。 「はぁ……っ、瀬名……だめだって……」 「駄目、ですか? どうして?」 「…………っ」  理人が弱いと知っている切なげな表情で見つめられ、理人は言葉に詰まる。 「だってまた、誰かに聞かれてたら……どうすんだっ」 「こんな早朝に聞き耳立てる酔狂な人なんていませんよ。それに……もし、邪魔が入っても寝てるフリしちゃえばいいんですよ」  ね? と、耳元で甘い声で囁かれ、こめかみや、至る所にキスの雨が降ってくる。 「は……んんっ、たく……適わねぇな……」  結局は瀬名に流されてしまう自分が悔しい。けれど、惚れた弱みなのだから仕方がない。  理人は諦めたように体の力を抜くと、瀬名の首に腕を絡めて引き寄せた。

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