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(――腰が、超痛てぇ……)
理人は、布団に突っ伏したま落ち込んでいた。
盛り上がっているうちは良かったものの、腰から来る鈍い痛みに流石にハメを外し過ぎたと自己嫌悪すら覚える。
あの後結局、流されるまま2回戦に突入してしまった。 途中、仲居さんが朝食を持ってきてくれたが、何食わぬ顔で浴衣の乱れを直して入り口で対応していた瀬名の変わり身の早さには驚ろかされるばかりだ。 理人の頭上でチッと舌打ちをしたあの顔を思い出すと、その後の対応との差に可笑しさが込み上げてくる。
ただ、色気だだ洩れの瀬名に充てられて真っ赤になって固まっていた仲居さんを遠目で見るのは何となく面白くなかったが。
まぁ、食事をテーブルに置いた後はまた戻ってきた瀬名と――……。
「……っ」
情熱的すぎるあれやこれやを思い出し、顔から火を噴き出してしまいそうになる。
「理人さん、どうかしたんですか?」
隣で横になっていた瀬名が頭をくしゃくしゃと撫でながら不思議そうにそう尋ねて来た。
「……瀬名。てめぇ、朝から何回ヤったと思ってるんだっ」
「え? あぁ、朝イチで2回しましたね……いや、3回?」
それがなにか? と、首を傾げる瀬名にがっくりと頭を垂れる。
「流石にヤりすぎだっ、馬鹿っ」
「すみません。理人さんが可愛すぎて止まらなかったんです」
さも当たり前のようにそう言われ、そっと抱きしめられた。額にちゅっと軽くキスをされたら不覚にもドキリとしてしまう。
「可愛くねぇだろっ! たく……汗でべたべたしてて気持ち悪いし、風呂入りてぇ」
「そう、ですね。じゃぁ行きましょうか」
「大浴場な。貸切は遠いし」
「え……いいですけど……理人さん。大丈夫ですか?」
一瞬、何が? と、思った。ちょい、と首筋を撫でられ改めて自分の身体を見てぎょっとした。
首筋だけでなく至る所に赤い徴が点在している。太腿の内側にまで付いているのを発見しカァッと頬が熱くなった。
「おまっ、痕付けすぎだろ!」
「理人さんに変な虫が付かないように、虫よけです」
「ふざけんなっ! こんなオッサン見て変な気を起こすのは絶対お前だけだ」
言いかけてがっくりと肩を落とした。少し遠いけれど貸切風呂へ行くしかなさそうだ。
「言っとくけど、今日はもうヤんねぇからな! 風呂場で変な事したら1週間はナシだぞ!」
「……はぁい」
頬が緩み切っている今の瀬名には何を言っても無駄だと思いつつ、一応釘を刺しておく。
「じゃぁ風呂、行きましょう」
スッと差し出された手を「仕方がねぇな」と呟いてそっと握り返した。
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