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「特に用って程じゃないんですが……。僕、瀬名さんの事が好きなんです」
「そうか。……で?」
「で? って、それだけですか?」
「お前が俺にどんな反応を期待していたのかは知らんし、興味もない。人を好きになるのに誰の許可も必要ねぇだろ」
理人がバッサリと言い放つと、藤田は呆気にとられたように目を丸くして固まった。
「じゃぁ、僕が瀬名さんを奪っても文句は言わないでくださいよ?」
「お前が? いい度胸だな。面白い。やってみろよ。まぁ、無駄な努力だとは思うが? 話はそれだけか?」
取り付く島もない。鼻で笑ってパソコンに視線を移し作業を再開する。これ以上の雑談は時間の無駄だ。
「っ、後で泣き寝入りしたって知りませんからっ!」
「あー、ハイハイ。そんなくだらない報告しに来る暇があったら、仕事しろよクソガキ」
悔しそうに歯噛みして去って行く藤田を見つめながら理人は溜息をついた。
アイツ、本当に馬鹿なのか。どう見たって瀬名がお前を相手するわけ無いだろうが。
藤田は自分に余程の自信があると見えるが、瀬名は絶対に靡かないと言う謎の確信が理人にはあった。
瀬名が自分の事を好きでいてくれる限りは、他の誰かに心を移すなんてありえない。
「随分と、藤田と仲良くなったみたいですね。理人さん」
はいこれ、と資料を持ってきた瀬名が、不思議な事を言う。
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