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「お前の目は節穴か!?」 一体、アレの何を見て仲良くなったと言えるんだ!? ただただ面倒臭いだけじゃないか。 理人の突っ込みなど意にも介さず、瀬名は嬉しそうに笑う。 「……はぁ、頭いてぇ……」 「えっ? 大丈夫ですか!? まだ本調子じゃないんじゃ……」 「テメェのぼんくら頭が原因だよ馬鹿野郎っ」 心配そうな顔で理人の額に手を当てる瀬名を払いのけ、理人は盛大なため息を吐いた。 全く、こっちの気苦労も少しは察して欲しいものだ。 「熱が無いならいいんですが、あまり無理はしないでくださいね?」 「昨夜から今朝に掛けて、俺に何したかわかってて言ってるんだろうな? お前はッ」 理人はギロリと鋭い視線を瀬名にぶつけた。散々、人を喘がせておいて無理するなとはよく言えたものだ。 「理人さんが可愛すぎるからいけないんです」 いけしゃぁしゃぁと言い放つ。理人は面食らい、反論する気も起きずに溜息を吐くと椅子に深々と腰を沈めた。 やっぱり、瀬名と居るとペースが乱されて敵わない。でも、それが嫌ではない自分がいる。 ほら見ろ、藤田の付け入る隙なんか無いじゃないか。 理人がそう心の中で呟きながら、勝ち誇ったような笑みを浮かべると、瀬名は不思議そうに首を傾げた。

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