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理人はしばらく思案した後、慎重に言葉を選び口を開いた。
「わかった。ただし、俺がお前の言う事を聞くのは1つだけだ。それ以上は聞かん」
『1つ……か。OKそれで構わない。それじゃぁ、交渉成立という事でいい?』
「あぁ。それで? 俺は何をすればいいんだ?」
理人の問いかけに、それは、と蓮は一瞬言葉に詰まった。
何を言われるのかわからずに息を潜めて耳にスマホを押し当てると、理人は瀬名の様子を気にしながら蓮の次の言葉を待った。
『お前の知り合いに探偵は居るか? もしいるならそいつを一人貸して欲しいんだ。後は僕がやるから、君は何もしなくていい』
「探偵を? 真紀の動向なら既に探らせているから無意味だぞ」
『いや……、実は僕もちょっとしたストーカーに悩まされてるんだ。一日でいいからその探偵と会う時間を設けられないかな?』
「それが、俺への頼み事という事でいいのか?」
『ハハッ、冗談だろ? これはノーカンだよ』
そう言って蓮は再び笑うと、「詳しい事は後でメールする」と言って一方的に通話を切った。
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