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それから数日、蓮から特に連絡が来ることも無く、平穏な日々が続いていた。蓮には言われたとうり東雲を紹介してやったが、これで完全に安心できるというものでもない。 それにしても、一体アイツはどうやって真紀を完全に黙らせるつもりなのだろうか? 以前,知り合いの警察に相談を持ち掛けられた時も現行犯じゃないと対応できないと言われていたのに。 その方法が気になりはしたが、約束は約束なのでこちらからはもう何も聞くまいと心に決めていた。 それにアイツのお願いとは一体何なのだろう? 頻繁に連絡を取るのはなんだか瀬名に悪い気がして、とうとう聞けずじまいだ。 そんなある日の事だった。いつもの様に瀬名と夕食を済ませ、二人でリビングのソファーに座って何気なくテレビを見ていると突然スマホが着信を告げた。 何となく嫌な予感がして、開くのを躊躇っているとそれに気付いた瀬名がスマホを手に取る。 「理人さん、電話ですよ」 「お? あ、あぁ。すまない」 瀬名の手からスマホを受け取り、画面を確認する。 「なんだ、ナオミか……」 蓮では無かったことにホッとして通話をタップして耳に押し当てる。 『良かった、やっと出た』 「何の用だ。店にはこの間行ってやっただろうが」 『やぁねぇ、営業の電話じゃないわよ! ねぇねぇ、今度の土曜日一緒にお花見行かない?』 「花見? 自分の性別だけじゃなく、ついに季節感までわからなくなっちまったのか?」 今は4月も半ば。桜なんてとうの昔に散って葉桜になってしまっているところがほとんど。一体なにを言っているのかと思わず眉間に皺が寄る。 『ひっどぉい。遅咲きの桜って知ってる? 今が見ごろの隠れた名所があるのよ。ついでに、アタシの新しい彼氏紹介してあげる。きっとビックリするわよ』 「……」 別に花見に興味は無かったし、ナオミの彼氏なんてもっと興味をそそられない。だが、ナオミには今まで散々助けられてきたし無下に断るわけにもいかなくて理人は返事に困ってしまった。

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