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本当にナオミと山田が出会ったのは偶然なのだろうか? ナオミもナオミだ。過去に自分を虐げていた男と恋仲になるなんて普通では考えられない。 「……ハハッ、鬼塚先輩。そんな怖い顔しないでくださいよ。なんも企んでませんって。あの時は確かにちょっとヤンチャしてましたけど、今はほら俺も普通のリーマンですから」 確かに見た目も雰囲気も変わったが、胡散臭く感じるのはどうしてなのか。 山田について、いい思い出が一つもない。さっきの蓮の態度からしても未だに繋がりがあるのは明白で、この花見自体が何か仕組まれているのではないかと余計に怪しく思えてならない。 「……理人さん、誰です?」 無言で警戒していると、不意に脇をツンツンと突かれてハッとして我に返る。 「あぁ、山田は蓮の下僕だった男だ。まさかゲテモノ好きだとは思わなかったが」 「下僕って! もっと他に言い方無かったんっすか!」 「下僕は下僕だろう? 他に何があるんだ。パシリか?」 「……っ」 どうしても過去の嫌な思い出が先行し穿った見方をしてしまう。 「ちょっと理人! ゲテモノとは何よ! 失礼しちゃう!」 「お前がゲテモノじゃなければ何だって言うんだ」 「理人ってばひっどぉい」 ぎゃぁぎゃぁと騒ぐナオミに少々うんざりしつつ、蓮を見ると肩を震わせて笑いを堪えているのがわかった。 「まぁまぁ、理人が怪しく思う気持ちはわかるよ。けど、ケンジと山田がくっついたって話は僕も花見の話を貰った時に初めて知ったんだ」 その話は本当なのだろうか? 蓮の言葉だけでは判断できないが、ナオミが嘘を言うとも思えない。 「理人さん、大丈夫です。何かあっても、僕が守りますから。それに、此処には大勢の花見客がいますしここに居る間は変な事はしてこないと思いますよ」 そっと瀬名に耳打ちされて、それもそうかと頷く。 確かにいくら何でもこんな公衆の面前で堂々と何かを仕掛けて来るとは考えにくい。 と、なると……。もし蓮が何か仕組んで来るとしたら、帰り際か……? それに、真紀の件がどうなっているのかも気になる。

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