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ああ、胃が痛い。 ナオミの作った弁当は確かに美味いし、桜の下で食べるのも風情があって中々いいと思うが、両脇で無言で啀み合っている二人の空気が重くて 息苦しい。 今の所、何も怪しいところは見当たらないし、蓮も至って普通に見えるのだが……。 今日は日差しも暖かく、天気が良い分むしろ暑いくらいなのに、背中には冷や汗が流れっぱなしだ。 味方だと思っていたナオミは、この関係を面白がっている風でも有るし、瀬名はさっきから黙り込んだまま飲み食いしている。 こう言う時、蟒蛇は困る。いっそ酔ってしまえたらどんなに楽だろう。 そんな事を考えていると、突然左の肩がぐっと重くなった。 何事かとそちらを見れば、先程まで酒を飲んでいた筈の瀬名がうつらうつら 船を漕いでいるではないか。 「おい、大丈夫か?」 「大丈夫です。気候があったかくて……なんだか急に眠気が……」 言ってる側から瞼が落ちてきて、今にも眠り込んでしまいそうだ。 それに気付いたナオミが「あらやだ。瀬名君、疲れてるんじゃないの?」と声を掛ける。 確かに、ここ最近仕事も忙しかったし、それに加えてわざとか? という程失敗の多い藤田のフォロー迄させてしまっている。 知らないうちに過労が蓄積していたとしても不思議ではない。 「なんだか、急に……眠くなってきて……少し休めば大丈夫ですから」 「おい、んな所で寝るなよ。風邪引くだろうが」 ユサユサとゆすってみるもののよほど眠気が強いのか、今にも横になってしまいそうな勢いだ。 仕方がない。上着でも掛けて少し寝かせてやるか。 そう思って上着に手をかけたその時。 蓮が思いもよらない提案をしてきた。

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