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「ねぇ、理人。ちょっと蓮君を警戒しすぎじゃない?」 「あ?」 瀬名を運ぶ二人の後をついて歩く途中、ナオミがそんな事を言いだした。 一体何を言い出すのかと振り返れば、彼女は眉間にしわを寄せてため息をつく。 「蓮君に口止めされてたんだけど……、彼、理人を置いて蒸発した事凄く後悔してるって言ってたわ」 「それは知ってる」 「でも、貴方には瀬名君が居るでしょう? だから、諦めなくちゃいけないのはわかってるみたいなの」 「……」 何をいまさら……。と、思ったが、ナオミの話には続きがあった。 「今回のお花見で自分の気持ちにケリをつけるつもりだって……。だから協力して欲しいってイケメンが頼み込んで来るんだもん。瀬名君と喧嘩するのはわかってたんだけど、ごめんなさい」 「ナオミ……、お前……」 「アタシ、理人の事も、蓮君の事も好きだから。応援したいし、協力してあげたいの」 ナオミの言葉には嘘偽りはないのだろう。だが、理人はそれを素直に受け入れる事が出来なかった。 過去の関係性の問題だろうか? 何か裏があるようにしか見えないのだ。 そんな事を考えているうちに、駐車場へとたどり着き真っ赤なレクサスの前で蓮は足を止めた。

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