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「ちょっと、トイレ」 そう言って蓮が席を立ったのは、再び飲み食いし始めてから30分ほど経った頃だった。 怪しい。何かするつもりだろうか?  「……俺も」 「あらやだ、連れション? 仲いいわね」 「五月蠅い黙れ」 茶化すナオミを軽く睨み付け蓮の後をコッソリとついていく。まさかとは思うが、瀬名に危害を加えるつもりではないだろうかと、気になって仕方がないと言うのもある。 だが、蓮が向かった先は本当に駐車場近くに設置してある公衆トイレだった。 その間スマホを触る仕草なども無く不審な動きは何も感じられない。 「……探偵ごっこの割にはバレバレだよ?」 トイレのドアの前で立ち止まり、いきなり蓮がこちらを振り向く。隠れる暇も無かった。 「別に……そう言うわけじゃねぇよ」 「ふぅん? じゃぁ、こんな人気の少ない所までついて来て……本心では僕に襲われたいって思ってるのかな?」 ぐいっと腕を引っ張られ、よろめいた所をそのまま個室の壁に押し付けられる。 「よ、よせっ……俺は、別に……っ」 「言っただろう? 僕は君を抱きたいと思っているって。瀬名君が寝てる今、ナオミ達の側に居れば周囲の目もあって安全だったのに一人でのこのこついて来るなんて……。危機管理が足りないんじゃないか?」 至近距離で蓮の瞳が妖しく光る。 まるで獲物を捕らえた肉食獣のような眼差しに、理人はゴクリと唾を飲みこんだ。 「っ、そんなつもりじゃ……っ」 「そんなつもりじゃないって? 高校時代にもトイレに連れ込まれたの覚えてないのか?」 「そ、それは……」 忘れるはずが無い。あの時はテニスコートで散々淫具で弄ばれた後、トイレの中で無理矢理犯されたのだ。今思い出しても恥ずかしくて死にそうになる。

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