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「っつぅ!……ぁっ」 思わず声を上げそうになり、慌てて手で口元を押さえる。その様子を見て満足げに笑うと首筋に舌を這わせながら蓮の指が執拗にそこを攻め立ててきて、ぞわりと肌が泡立つ。 次第に芯を持ち始めた乳首を今度は優しく撫でられれば、堪らず熱い息が洩れそうになり理人は唇を強く噛んだ。 こんな状況でも反応してしまう自分の体が心底憎い。 「相変わらず感じやすいな。嫌だったんじゃなかったのか? 随分ノリノリじゃないか」 「うる……さい……っ! とっとと済ませろよ」 「ふーん……。そういう態度取るのか。せっかく優しく抱いてやろうと思ってたのに」 「優しく? ハッ、お前らしくないじゃないか……。お前はいつも強引で、自分勝手で、散々無理やり俺を犯してきたくせに」 蓮に優しくされた記憶なんて一度もない。あるのは凌辱にまみれ強引に快楽の渦へと引きずり込まれていった経験だけだ。 「確かにそうだ。ふふ、そっちの方が理人の好みだって言うなら望みどうりにしてやるよ」 乱暴な言葉とは裏腹に蓮の手つきは驚くほど優しかった。まるで恋人にするかのように甘い仕草で体中を愛撫されゾワゾワとした感覚に襲われる。 「ん……は……っ」 耳たぶを食みながら、蓮の熱い吐息が鼓膜を刺激する。胸の尖りを弄られ、腰骨を撫でられる度に甘い痺れが広がっていく。 「あ……っ……はぁ……はぁ……っぅ、んんっ」 どうして、こんな触れ方をするんだろう。昔のように何も考えられなくなるくらい強引に、無茶苦茶にしてくれた方がどれだけ楽だったか。 蓮に優しく触れられるたびに、瀬名の事を思い出して苦しくて仕方が無くなる。頭では嫌だと否定しても、浅ましい身体は与えられる刺激に対し従順に反応してしまう。

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