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「理人……そんな泣きそうな顔するな」 「う、煩いっ……泣いてなんか……」 何処か切なげな表情を浮かべ、そっと蓮の長い指先が目元に触れてくる。 なんでそんな顔をする? どうして昔みたいに無理矢理犯してくれないんだ?  都合のいい性欲処理としての玩具として扱ってくれた方がずっとマシだ。 そんな風に扱われることに慣れ過ぎてしまったせいか、今のこの状態が逆に辛い。 「僕はお前を泣かせたいわけじゃないんだ」 「だったら、今すぐこの行為をやめろよ」 「それは出来ない」 「あぁっ!」 即答すると同時にギュッと少し強めに乳首を摘ままれ、痛みと快感が入り混じった何とも言えない感覚に悲鳴が上がる。そのままぐりぐりと先端を押し潰すようにされれば、今自分が感じているのが痛いのか気持ち良いのか訳がわからなくなってくる。 「や、ぁっ……おまっ、言ってる事と、やってる事が無茶苦茶じゃないか!」 「……本当は、わかってるんだ……。こんな事したって、お前の心は手に入らないことは」 「あ? なに、言って……」 突然呻くように吐き出された蓮の言葉に理人は困惑の表情を浮かべた。 一体何を言っているんだ?  蓮の言葉の意味がわからない。 「お前はもう、あの男のモノなんだろう? 頭ではわかってる。諦めなきゃいけないって何度も自分に言い聞かせてたんだ。……だけど、どうしても諦めきれなくて。過去に戻ってやり直せたらどんなにいいかって何度もそう思ったよ……。馬鹿みたいだよな。そんな事出来るわけ無いのに」 前髪をクシャッと掻き上げ、辛そうな表情を浮かべる蓮の方がよっぽど泣きそうな顔をしている。 「蓮、俺は―――」 「言うな。わかってるから……。卑怯な事をしている事だってわかってる。 それでも……僕は……っ。なぁ、理人……。一度でいいから、僕を受け入れてくれないか?」 懇願するような蓮の声音を聞いて、理人は一瞬戸惑ってしまった。その聞き方は狡い。今までの蓮からは考えられない弱々しい姿に動揺し、心が揺れる。

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