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瀬名はそんな理人の仕草を見て満足そうに微笑み、そのまま真奈美へと視線を向けた。 瀬名の視線を受けて、真奈美は苦し気に顔を歪め唇を噛みしめ呻くような声を出す。 「……っ、好きにしなさい……っ」 それだけ言うと、くるりと踵を返して走り去って行く。 「……追わなくていいのか?」 「大丈夫。こんな事で自棄を起こして人に迷惑を掛けるような姉じゃないので。……それより、僕らも行きましょうか。このままじゃ風邪ひいちゃいますしね……それに、そんな姿でいつまでも居られると目の毒だ」 「あ?」 一瞬、何を言われたのかわからなかった。瀬名の指がトンと胸元の飾りをわざと押して耳元に唇を寄せて来る。 「乳首、透け透けでいやらしいです」 耳元で囁かれ、カッと一瞬にして顔が紅潮した。慌てて胸元のシャツを掻き合わせる。 指摘されて初めて気が付いたが、雨に濡れたせいで服がぴったりと肌に張り付いており、胸の突起が浮いているのがはっきりと見えてしまっていた。 「て、てめっ! 気付いてたんなら早く言えよ! クソがッ」 「すみません。言うタイミングが無くって」 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる瀬名を軽く睨みつけながらも、理人はそれ以上文句を言うのをやめて瀬名の手をギュッと握った。 「……っ」 瀬名が驚いた様に目を見開く。 「やっぱり……今ここで押し倒してもいいですか?」 「ッ、いいわけ無いだろっ!!!」 理人の叫び声が、静かな境内に響きわたった。

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