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ちゃぽん、とバスタブの中で湯が跳ねる。ホテルの部屋に備え付けられた浴室は、二人で入っても余裕があるくらい広々としており、ほんのりと檜の香りが漂っている。 躊躇いがちに身体を寄せると、瀬名に優しく抱きしめられて濡れた髪や肩に口付けが落ちて来る。 「くすぐったいから止めろ」 なんて口ではそう言いながらも、本当はこうして触れられる事が嬉しくて理人は湯の中で自分の指を瀬名の指に絡めた。瀬名もまたそんな理人の行動に応えるように指先に力を込めて握り返してくる。 お互いの指先を擦り合わせているだけなのに、それすらもが愛おしくて堪らない。 あの後、二人は連れ立って神社近くのファッションホテルへと入った。 フロントで部屋を選んでいる間も、エレベーターの中でも瀬名は離してくれなくて、腕の中に閉じ込められたまま、目が合うと直ぐにキスの雨が降ってくる。 それは部屋に入ってからも変わらず、取り敢えず濡れた身体を温めようと言う話になったのだが……。 「……ん……ぁ……」 浴槽に張られた湯よりも熱い舌が絡み合い、息継ぎの合間に漏れ出る甘い吐息が狭い空間に反響する。 角度を変えて何度も深い接吻を繰り返し、唾液が混ざりあう淫靡な水音に鼓膜を刺激されそれが余計に二人の興奮を煽った。 「ふ……んッ」 甘い吐息ごと飲み込むようにして瀬名の唇が理人を塞ぎ、角度を変えて何度も吸い付かれる。瀬名の手が理人の下腹部に伸び、ゆるゆると撫で回す。その感触に理人は小さく身を捩らせた。 「……っ、ここ、風呂の中だぞ? 駄目だって……」 「わかってますよ。でも、もう少しだけ……」 「ぁ……っ」 瀬名は焦らすような手つきで理人の太腿を撫でた。内腿の際どい部分を刺激され無意識のうちに腰が揺れる。 「はぁ……っ、も……いいから……」 「もう?」 「ん……っ、欲しい……っ」 「何をですか?」 「……っ、分かってるくせに……っ、意地が悪いぞ」 涙目で睨みつけると、瀬名は満足そうに微笑んで、物足りなさそうにひくひくと収縮する後孔に怒張した雄が押し当てられる。 「ふふ、すみません。理人さんが可愛くてつい、意地悪したくなっちゃいました。――でも、僕ももう限界なので……っ」 瀬名の切羽詰まった声が聞こえたかと思った瞬間、一気にグンッと最奥まで貫かれた。 「ひ……っ、あ、あ……ッ!!」 あまりの質量と圧迫感に一瞬呼吸が止まる。 「っく……キツイな……っ」 「ん、ぁ……っまっ、馴染むまで、ゆっくり……っ」 瀬名の熱杭が内壁を押し広げて入ってくる感覚に身震いし、身体が仰け反った。 「っ、待てないです……っ」 「んぁ……っ! ま、まて、まだ動くな……ぁあっ!!」 制止の言葉を無視して、激しく突き上げられて浴室内にパンッと肉のぶつかり合う音が響く。 「ん、は、ぁ……っ、激し……っ」 「はぁ……っ、理人さんのナカ……凄い締め付け……っ」 「んぁ……っ、や、そこ……ッ」 カリの部分が良い所を擦り上げ、ビクビクと身体が痙攣する。 「ん……ここ、好きでしょう?」 「ぁ……ッ、好き……っ、瀬名の……太くて硬いのでゴリゴリされるの……っ、堪らない……っ」 「く……っ、だから、煽るなって……っ」 瀬名は苦し気に眉根を寄せると、理人の腰を掴んでガツガツと乱暴に揺さぶってきた。 「ひっ、あ、はげしっ……っ、待っ! ぅ、ぁっすごっ」 「っ、あぁ……すごい……全部持っていかれそう……っ」 激しい抽挿に結合部からグチュッグチャっと淫猥な音が漏れ、肌を打つ乾いた音と重なって理人は聴覚からも犯されているような気分になる。 「ぁっ、も、イく……い、くっ」 「っ、く……っ」 絶頂の予感に全身が戦慄き、一際強く腰を打ち付けられると同時に熱い飛沫が体内に注ぎ込まれた。

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