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【番外編】尿道、気絶、こんにちは※
どういうわけか焔が怒っている。せっかく最近はラブラブだったのに、今日は縛られてベッドに転がされてしまっている。
「何で俺が怒ってるかわかる?」
低い声で言われるが、ちっともわからない。今日は一緒にDVDを見る約束をしていたのに。俺の特撮タイムを返せ、と思ったが、さすがに口にするのはやめた。
黙って首を振る。
「さっきの男」
「? 田中さん?」
「笑いかけて、話したでしょ」
「いや、お隣さんに挨拶しただけだって」
どうやら隣人に「こんにちは」と言っただけで嫉妬されているらしい。どうしよう。よく今まで生きてこれたな、俺。そう甲斐は思った。
「俺以外の男に笑いかけちゃダメだよ」
そんな風に言われて、面倒なはずなのに、嬉しく思ってしまう自分もいて。きっと焔が甲斐に夢中なんだと思えるから。
「………俺には焔だけだ」
そう言ったのは正解だったらしく、焔が嬉しそうに笑う。笑った顔も、嫉妬に狂った顔も、イケメンはイケメンなのでズルい。
「うん。でも、お仕置きはしないとね」
それでも、お仕置きとやらは免れないらしい。
「むり、むりっ」
縛られたまま、動ける範囲で体を動かして抵抗する。腕は後ろ手に縛られて、体の下敷きになっていてとにかく痛い。足の方はM字に広げられた状態で縛られている。甲斐にできることはとにかくその状態でみっともなくごろごろと体を動かすことくらいなのだが、それも焔に容易く止められる。
「大丈夫だよ」
焔の手には名称のよくわからない、細長い何かが握られている。何が大丈夫なものか。それでも、動くと変なところに入っちゃうかもよと脅されれば、動きを止めるしかない。
「大丈夫なわけあるか」
仕方なく、動きは止めたままで焔を睨み付ける。だがその表情は逆効果だったらしく、焔は楽しそうに笑うばかりだった。
「んっ」
冷たいものが甲斐のペニスに垂らされる。ローションとは違う、潤滑ゼリーというものらしい。それを焔は手に持っているものの先端にもかける。
それの先端が、ペニスに押し当てられる。腰を引いて逃げようとしても、押さえつけられて叶わない。
「……ひっ、やだっ」
「痛い?」
「いたく、ない、けど」
恐怖に身構えているが、痛みはない。ただ違和感だけがある。尿道をゆっくり優しく開かれていく。それが怖くて暴れだしたいのに、変なところを抉られたらと恐怖で動けなくなる。
「ほら、どんどん入ってくよ」
「んんっ、やだ、」
こじ開けられていくそこはずっとおっしこでも出しているかのようで。恐る恐る覗き込むが、漏れてはいない。それより何かが突き刺さってグロいことになった自分のペニスが目に入ってしまい、慌てて目を逸らす。
黒いシリコンでできた細長いそれは、尿道バイブというらしい。そんな変態な道具がこの世に存在するとは知らなかった。なんで焔はそんなものを持っているのだろう。
「だいぶ入ったね」
ペニスの先端には尿道バイブのでっぱりがちょこんと出ている。長かったのに、細い部分はだいたいペニスの中に入ってしまったらしい。
「んっ!」
焔が甲斐のペニスを軽くつつく。それだけで射精しそうになるのに、穴を塞がれているためにできない。
「やだ、ぬいて……ほむらっ」
「ダメだよ」
「んんんっ」
「甲斐が、他のやつに尻尾を振らないように」
「あっ!だめっ!ほむらぁっ」
「俺にしか見せない顔、見せて?」
ゆっくりと、尿道バイブを抜き差しされる。ほんの数センチくらいを時間をかけて抜かれて、また入れられる。放尿しているような感覚が気持ちよくてたまらない。
先程より奥まで入ったそれの先端に、焔が触れる。カチッと音がして、ローターのスイッチが入る。
「――ぁあああっ!!」
尿道全体が震え、体の中からとんでもない快感がこみあげる。おしっこが止まらないような、イキ続けてるような、終わらない快感がとにかく恐ろしい。
「やっ、やだっ、とめ、てっ」
いつの間にか泣いていた目元に、焔がキスをする。
「いいよ、じゃあ、出して」
そう告げると、ローターのスイッチを入れたまま、一気にバイブを抜かれる。
「ぁああああああああああっ!!」
尿道を一気に刺激され、それまで塞き止められていた精液が出口を求めて溢れ出す。いつものような勢いはなく、とろとろと流れるそれはいつまで経っても終わらないような気がした。
射精が終わると、そのまま放尿もしてしまっていたのだが、気絶していた甲斐は気づかなかった。
「甲斐、可愛かった」
そんな甲斐にキスをして、焔は満足そうに笑うのだった。
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