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⑦悪戯心※

 夢中でセックスして、いつの間にか寝落ちしていたらしい。背後から焔に抱きしめられていて、どうもやっぱり挿入されたままだった。自分のペニスの形を覚えさせるというのは本気のようだ。首を捻って背後の男の顔を見ると、なんと眠っていた。普段と違う、まだあどけなさの残る寝顔を見ていると何だか……むくむくと、悪戯心というものが……。  寝息を聞いて、しっかり眠っていることを確かめる。  そして腹に力を込める。 「んっ……あ、……」  体内で焔のペニスを扱くようにイメージして、締めては緩めるのを繰り返す。焔はまだ眠っているはずだが、段々とペニスが硬くなっていく。締め付けると中の弱いところに当たって気持ちいい。  気が付けば焔の方に尻を突き出すようにして、もっと奥までペニスを咥え込もうとしていた。ぐちゅりと卑猥な音を立ててそこがペニスを深く飲み込む。昨夜散々中に出された精液が甲斐の動きを助けてくれていた。 「あっ、もっと……ふかいのっ…………」  腰を振ってペニスを自分のいい所に当てようとしても、なかなか上手くいかない。もっと奥まで欲しいのに、これだけではイケそうにない。仕方なく自分で乳首を弄ってみる。  焔が眠っているのをいいことに勝手に焔のペニスで気持ち良くなって、とは思うけれど、どうせ焔も寝落ちした甲斐を抱いていたのだろうからおあいこだ。  焔に触れられた時のことを思い出しながら乳首を弄っても、腰をくねらせてペニスで快感を拾おうとしても、決定的な瞬間はなかなか訪れない。  いいかげん、すやすやと眠り続ける焔が憎くなってくる。 「ほむらぁ…………あ、あっ!?」  もう一旦抜いてから起こそうかと思った瞬間、後ろから腰が掴まれ、容赦なく奥にペニスが叩きつけられた。  驚いている間にベッドにうつ伏せに転がされ、上からのしかかられる。先ほどまで届かなかった場所を突かれた瞬間、甲斐のものは射精していた。 「ちょ、いつ起きて……だめっ、まだイッてるからっ……っ!」 「勝手に人の物使ってオナニーするなんて、いやらしいんだから」 「あんっ……ごめんなさ…………やっ、あっ!」  一人でしていた時とは違って容赦なく気持ちいいところを刺激される。逃げようとしても腰を掴まれて動けずただ喘ぐことしかできない。 「へんになるっ、やっ、ぁああっ」 「人が寝てるのに気持ちよさそうにしてるんだもん、嫉妬するなあ」 「あっあっ、ひぁっ……だめっ、も、むりっ」 「気持ち良さそうに腰揺れちゃってるのに?」 「ちがっ、あっ」  結局朝からまた中に出されて、体力を使い果たすことになった。  ……さすがに今回のことは甲斐の自業自得だろう。  焔はぐったりしている甲斐を風呂に入れ、隅々まで洗い、中に出したものも掻き出してくれた。まあ焔がやったことなので当然といえば当然なのだが。  風呂上がりはバスタオルで甲斐を包み込み、風邪をひかないようにねと囁きながら拭いてくれる。  そう言いながら肝心の焔はまだ濡れていて、「いいから自分も拭けよ」と追い払った。  焔は放り出していた自分のバスタオルを取ろうとして、それで、 「わっ」  ――それで、足を滑らせた。  ちゃんと体拭かないからじゃないかとか、ヒーローのくせにドジすぎやしないかとか、考えている間に見事に転んだ。しかも頭をしっかり打っている。 「…………あれ、甲斐……学校は?」 「へ?」 「俺、たしか転んで…………」  頭を打っておかしくなってしまったのかと思ったが、『学校』という言葉に思い出す。  そういえばあの日焔は頭を打ったのだと星野が言っていた。もしかして、この焔はあの日の直後――つまり、 「記憶が戻ったのか?」 「記憶?」 「お前ずっと記憶喪失だったんだよ」 「……そうか」  普通そんなことを言われても信じないだろうに、焔はやけにあっさり甲斐の言葉を信じた。  それからバスタオルに包まれた甲斐の体をじっと見つめると、部屋の温度が下がったような気がした。 「……じゃあその痕は、記憶喪失の俺がつけたんだ」  ……あ、死んだ。

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