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第15話 縛り縛られ地獄行き

  「ん゙っ……」 「大丈夫か?」 「大丈夫です……むしろもっと、キツく……」    ぎちりと身体を這っていく縄。背中に回した腕は、手首部分を重ねるように縛られ、今は肩下から胸の上を通すように縄が一周回されている。手首部分も、胸上も、指一本通るかどうかのぎっちり具合に、俺の身体は歓喜を覚える。既に脳が新たなる刺激を求めて、陽彦に強請り始める。少し揺れる彼の目に、ああもう少しでと、もう一押ししようとした。   「だめですよ、Subに流されてはDomとして三流です」 「そ、うだな」    しかし、それよりも、前に店長に止められてしまう。晴彦は気持ちを持ち直すと、正しい強さでまた縄を捌いていく。ぎこち無い手付きで、店長に教えられるがまま、縄を俺の腕に、胸に、首にと通して、縛り上げていく。    やはり、喉元を通る縄の恐怖と、圧迫感は良い。少しの動きでギシギシと鳴る程には、キツく締められた縄。   「月代、気持ちいいのか?」 「はぁぃ……きもちぃぃですぅ……」    とろとろと思考回路は既に縄酔いを起こしている。普段ならば、後ろ小手縛りくらいで、縄酔いを起こすことはない。でも、どうやら自分のスイッチが入ってしまったようだ。    そんな縄酔いした俺を良いことに、店長は陽彦に二本目の縄を渡し、今度は足をM字開脚になるように縛り始める。メイド服の下はモロ見えになり、メイド服のスカートだけが辛うじて大事なところを隠している。    メイド服の下には、何も着けていない。既にそそり勃つ自分の男性器と、暴かれたことのない穴がそこにはある。   「ぁっ、み、みぇちゃぅ」 「」 「うっ、うゔっ……はずぃっ……」    陽彦はスカートを捲る。俺は恥ずかしくて足を閉じそうになるのを、命令だからと堪えた。この前散々見ただろうそこは、まだ以前の生々しいプレイの痕が残っているだろう。じっと陽彦はその光景を見ている。  そして、後ろにいる店長はその光景を見ながら、不思議そうに首を傾げた。   「あれ? ルナちゃんのアナル、拡張しないんですか?」 「アナル拡張……αのサイズになんか無理なんじゃ」    なんともムードも何もない会話を、俺の穴を見ながら始める二人。それに、前の時に突っ込みたいと言っていた陽彦のほうが、随分冷静なことを言っている。流石に抗議すべきかと思っていたが、それよりも先に店長が口を開いた。   「大丈夫ですよ、βの穴でも、頑張れば腕一本くらいはいけるので」    僕はその言葉に顔を引き攣らせる。そのβのSubさんはよく知っていた。今もこの店にくるDom女性のペットであり、アナルバルーンとオムツがないと生きていけなくなった人。頭で浮かんだ情景を思い浮かべ、流石にはなりたくないと思ってた人でもある。しかし、青ざめた俺のことは気にもとめず、店長はにこにこと商売トークを続ける。   「αのペニス並の拡張セットもあるんで、どうです? うちなら、そういうところもいい店ご紹介しますよ?」    うちの店と提携してる店の中で、こういう形で紹介した場合にもし客が購入すれば紹介料が発生するようになっている。  店長のことだ、相当紹介料が高く取れるところに紹介する気だ。   「そうか、そこに行くとして、今買えるものあるのか?」 「そのお店の、アナル拡張初心者セットがありますよ。アナルパール、バルーン、ディルド、アナルプラグ、エネマグラ、大変お買い得で今なら……」 「それを」 「まいどありです〜!」    そのセットは相当高いやつだったはず。しかし、その分たしかにモノは良い。店長もDomの端くれのため、品物にはプライドを持って選んでいるそう。店長はバックヤードの隅の在庫棚から、その初心者用セットを取り出す。そして、おまけと言わんばかりに潤滑ゼリーも持ってきた。   「やり方レクチャーしますか?」 「頼む」 「はい、よろしくお願い致します〜!」    意外と息があってきた二人は僕を置いてけぼりにしながら、話を勝手に進めていく。店長はさっきのセットと一緒に持ってきただろうゴム手袋を陽彦に渡した。   「人肌に温めた潤滑ゼリー、または潤滑ゼリーを手で温めるなどをおすすめします」 「ほうほう」 「今回は当店オリジナル潤滑ゼリーと、温度調節ボックスで少し温かくしてますのでこのままご使用ください!」    店長に言われるがまま、陽彦は潤滑ゼリーを俺の剥き出しなあそこに、ぬちゃりと塗り始める。   「ん゙ぁ、ぁッ……ゔっ!」    固く閉じられた縁をぐるりぐるりと弄る指、一本の指の先がぐっと穴の中へと侵入しようとしてきた。その圧迫感と抉じ開けられる痛みに、思わず体に変な力が入る。  陽彦はぐっともう一度押しながら、少し眉を顰める。   「痛いのか?」 「ゔんん、ぎ、もぢぃぃ……」    俺の身体は、理不尽な痛みを欲している。ぐちゅりと入ってくる、節榑立(ふしくれだ)った指の全てが、何度も俺の内壁をずりずりと刺激する。  潤滑ゼリーがあるとはいえ、まだ慣らされてもいないそこに無理やり入れられたようなものだ。  俺はすでに未知の痛みに、引きずられている。痛いが身を捩れば、縄が肉に食い込む。   「最初は、アナルプラグらしいが、入るよな?」    陽彦は楽しそうにそう言って、初心者用のそれからアナルプラグを手にとって、俺に見せてくる。たしかにそれは小さいものだが、まだ未開拓のそこには早すぎ。でも、身体は自然とそこから与えられる痛みを待っていた。    俺の目の前まで持ってこられたアナルプラグの先端に、潤滑ゼリーが垂らされる。どろりとしたそれは陽彦の指を伝い、メイド服へと少し垂れた。   「じゃあ、いれるぞ。?」    楽しそうに笑う陽彦の目は、爛々と輝きまるでおもちゃを与えられた子供のようだ。   「はぃ、はるひこ、さま」    もうすでに身体は火照り、入れやすいように俺は腰を浮かした。    ずっぶ、り。   「ひ、ぎぃっあ゙ぁ゙!」    酷く情けない俺の叫びが、部屋に木霊した。      

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