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第4話

ゴールデンウィークが明、連休だからと鬼のように出された課題はすべて提出した。提出すればいいの精神で乗り切ったのだ。及第点は取れるだろうが、高評価は取れないであろう出来だ。それはもういい。今日から歯科理工学の演習が始まるのだ。 「今日から歯科理工学の演習です。歯学部と技工科で合同の班を作りました。配属の班には講師が一人つきます。詳しい話はオリエンテーションで話していますね。では、班分けを発表します。」 講義室の大スクリーンに映し出された名前と班分け。歯学部と技工科では歯学部の方が学生が多いためか班はおのずと技工科生が少ない。じゃっかん班分けに統一性がなく歯学部生と技工科生の割合だけ一緒で生徒はランダムに選出しているらしい。 春眞は自分の名前を探しスクリーンを見つめ続ける。しかし、なかなか名前が見つからない。喜舎場なんて珍しい名前なのに。学年にも一人しかいないはずだ。もう一度スクリーンを見て名前を探す。すると、表の初めの方に騎射場とある。珍しい名前だから先生が間違えたのだろうか。もしくは騎射場さんがいて春眞は忘れられた。きしゃばという人物には大学内で聞いたことがない。きっと前者だろう。 「班ごとに分かれて指導教員の支持に従ってください。」 そう一番で話す教授がいう。 「じゃあ春眞、俺は違う班だから行くな。後で家来いよ、実家から仕送りが来たんだ。今日は肉だ」 「、終わったら家に行くよ。」 そうって2人は自分たちの班に分かれた。 担当であろう講師は紙にデカデカとB班と書きそれを持って講義室の端に立っていた。講師の周りには数人の人だかりができており春眞は最後に来たらしかった。 「喜舎場 春眞君だね。よろしく。私は君たちの担当をする三角だ。では実験室へ移動しよう。」 三角先生は優しそうで温和な雰囲気の漂う先生だった。 そして班の皆も優しそそうだった。一人を除いて。 「偶然だね春眞。一緒の班になれるなんて嬉しいよ。これから3か月間よろしく。」 深淵のようなアーモンドアイが春眞を見つめている。温和なふりをした暴君が手を差し出す。 「ほんとだね。演習ではよろしく。佐藤君。」 春眞はそう言ってその手を握り返した。 「佐藤君なんて他人行儀だな。蓮でいいよ。」  やけにニコニコと嬉しそうな蓮の顔が余計に春眞の恐怖心を煽った。  

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