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第8話
「うぅうーん、、肩凝った。」
パソコンから顔を上げぐるぐると肩を回す。ぽきぽきと春眞の肩から軽い音がなった。
「俺たち、結構作業してたみたい。店も混んできそうだしそろそろお暇しようか。」
蓮が鞄に荷物を詰めながら席を立ちあがる。
それにつられて春眞も鞄に荷物を詰め込んで席を立った。
お会計を済ませファミレスの外に出ると、丁度パラパラと雨が降り出している。
「あっちゃー、走って帰ればギリ濡れないかな。」
春眞は手を軒先から出し雨の量を確認しながら言う。
「さすがに無理じゃないかな。春眞パソコンだって持ってるし。よければ俺の傘入っていきなよ。最近小雨がちょっと降るのが続いてたから傘持ってるんだ。大きいし2人入って行こ。」
確かにパソコンがダメになるのは困る。今日は防水のパソコンケースではないし、鞄も防水じゃない。
「じゃあお言葉に甘えようかな、傘入れて。」
「うん。」
蓮はそういうと持っていた傘を広げ春眞の腕を引っ張り歩き出す。
「もっと近づかないと鞄濡れちゃうよ。」
そう言ってクスリと笑い、傘を持ち直す。
「あぁ、ありがと。」
「駅?それとも家近く?」
「駅までお願い。電車乗るから。駅のコンビニで傘買おうかな。」
「おっけ。じゃ大学の最寄りまで行こうか。」
そうして2人は駅まで歩き始める。
春眞は何となく居心地が悪くて黙ってしまう。
2人は話す事もなく直ぐに駅に到着した。
蓮は春眞よりも10センチ以上高く傘はおのずと蓮が持っている。蓮は傘を少し春眞の方に傾けていたので方が濡れている。5月も終わりに近づいてあたたかい日が続いていても雨は冷たい。それを見た春眞は鞄からタオルを出し。
「肩濡れてんじゃん。まだ使ってなくてキレイだから使って。」
「ありがと、じゃあ借りるよ。洗うから、今度の合同授業の時に返すよ。」
そう言って蓮はタオルを受け取ると肩や顔に付いた雨を拭いていく。
「じゃ、送ってくれてありがと。また合同実習で」
そう言って春眞は駅の改札をくぐっていくのだった」
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