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第11話
㋄も終わりに近づいて気候は少し暖かくなり軽いタオルケットで寝ても寒くはない気温になってきた。朝起きるときにも布団から出るのが億劫ではなくなってくる季節。
朝、セットしたスマホのアラームで起床し軽く着替えてスマホとイヤホンと財布をウウェストポーチへ入れ家を出る。
川沿いの道を小走りで歩く。ワイヤレスのイヤホンからは自分の好きな音楽が流れている。朝日が昇り始め道沿いを照らす。
川に沿って走ると中規模の公園がありそこには人が疎らにいる。広場では猫集まり集会を開いている。ニャーとボス猫が鳴いて春眞の足元にやってきた。朝たまに走りに来るようになってココの場所を知った。初めは警戒して寄り付かなかったボス猫だが何回か来るようになって近くに来てくれるようになった。
猫を撫でようとしゃがんだ春眞の膝に手を置き春眞の顔をスンスンと嗅ぐ。
「おはようにゃ」
春眞が挨拶をするとそれに返すようにボス猫は野太い声でニャーとなく。
猫と数分戯れ公園を出て川沿いをまた走りだす。橋の所で川の反対側へ渡り次は家に向けて走り出す。
帰路を進みながら、朝ごはん用のパンが無かったことを思い出しコンビニへ寄る。パンコーナーから食パンをとり、ついでにアイスコーヒーを手に取りレジへ向かう。
朝から元気な店員はいつも見る人だった。
家に帰ると、シャワーに入り朝食を取る。サラダとベーコンとパンと牛乳。食べ終えたら歯磨きをして顔を洗って髪を整えたら学校へ行く。
座る席は大体決まっている。席には既に辰巳が先に来ていた。
「おはよ、今日は遅いじゃん。」
「ちょっと準備が遅くて。」
今日は歯学部と合同の授業は無い。一日中技工棟にいる日だから気が楽だ。
最近の春眞には悩みがある。なんだか蓮が自分によく関わろうとしている気がするのだ。合同の実験ではよく話題を振るし、見られている感じもする。困っていたら助けてくれたりするから助かっている。蓮はよく周りを見ている。けど自分は特別気に掛けられているように感じる。嫌な感じはしない。単純な好意だと思うがなんだか春眞はそれが怖かった。
「辰巳、今日さ。俺の家で飲まない?缶チューハイでも買って飲もうぜ。」
「いいぜ、明日は1限無いし。春眞の家でいい?」
「うん、決定な。じゃあ、俺の家に7時集合な。」
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