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第12話
授業もすべて終わり放課後。春眞の家では辰巳と春眞の2人で酒盛りが行われていた。
机の上には春眞と辰巳で作ったつまみが並べられている。お酒の缶はすでにいくつか開けられており既に2人がほろ酔いであることがわかる。大人数でもない見知った2人での宅飲みなので一気飲みもなく、お互い自分のペースで自由に飲んでいる。最近あったバイトでの出来事や自分が所属しているサークルでの出来事なんかを話しながらチビチビお酒を飲む。そうするとおのずと今の授業での話になるわけで、すると歯科理工学の演習の話にもなる。
「実はさ、なんか演習とかの時に妙に蓮に絡まれる気がするんだ。」
「よく話かけられるとか、気づいたら近くにいるとか?」
「それもだけど、なんかよく2人っきりになる。」
「えぇ、どうやって?」
「今日はバイト無いの?とかレポートの資料借りるとか、書き方教えてもらってるうちに2人で会う約束してた。気づいたら話がまとまってて。断るのもできなくて。」
「蓮って、なんで、え?」
「話の流れとしか。なんか色々教えてくれるし。」
「蓮って確か歯学部で成績トップ群らしいぞ。確かに教わるのは上手いだろうな。」
「そうなんだ。確かに教えるの上手かった。でも中学の頃のことがあるじゃん。なのになんで今更。」
春眞は近くにあった缶酎ハイを新しく開け氷の入ったタンブラーに注ぎ飲む。ほんの少し、口を潤す程度飲んで机に置く。
「どんな感じの絡み方?悪意がある感じした?馬鹿にしてやろうとか。見下されてる感じとか」
「いや、しなかった。悪意は感じなかったかな。」
「えぇーなんだよそれ。意味わかんねぇな。」
「そうなんだよ、だから怖い。」
「まぁなんか、なんで今更ってなるわな。でも春眞も掘り返したく無いだろ。」
「うん、まぁ」
「じゃあ、ちょっと様子見してみ。もしかしたら、ただ絡みたくなっただけかも。」
「うん、またなんかあったら言うね。」
「おう、」
相談したことで少し気分が晴れたらしい春眞はお酒を煽った。
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