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第13話
辰巳との宅飲みから数日後、歯学部と合同の歯科理工学の演習では相変わらず蓮に絡まれる日々を送っていた。なんだか最近は演習以外でも蓮に会うのだ。例えば学食のや実習室や図書館。色々な所で会う。演習で一緒になるまで会っていなかったのにここ最近はよく会うのだ。
1年の頃は主に技工科と衛生士科が一緒の授業が多かった。というか歯学部との合同授業は2年に上がって初めてだった。1年の頃は技工士科と衛生士科は技工棟での講義が多かったし、技工棟から正反対の離れた場所に歯学部生が利用している棟がある。その近くに学食もあるため、衛生士科と技工士科の生徒は滅多に学食を利用しないのだ。技工科にも小さな売店はあるためそこで済ませる学生が多い。春眞もそうだった。だから歯学部生との交流はない。それで春眞はこれまで蓮と鉢合わせしなかったのだ。
今日は講義が終わってから歯科理工学のレポートを書くために図書館へ行く途中に蓮と会い流れで一緒にレポートを書くことになったのだ。
「レポートの期限は確か3日後だよね。春眞は間に合いそうだよね。実験の時からこまめにデータ入力してたし。」
「それが1回三角先生に見せたんだけど修正とか資料足さなくちゃいけなくて。」
「それで今日図書館行くのか。俺も先生に見てもらったよ。俺は文章なおしたらいけそう。資料俺も結構探したんだ。後で足りない資料教えて、もしかしたら俺の使った資料にいいやつがあるかも。」
「ありがとう。後でレポート見せるね。」
「うん。」
そう言って蓮は春眞を促し図書室へと向かう。途中で飲み物を買い2人は図書室へ来た。実習スペースでパソコンを出しレポートを修正する。4人掛けの机に対角線上に座りお互い作業を進める。
そんなに修正箇所は多くなかったのか2人とも数十分で終わらせてしまう。
「よっし。後は三角先生に出すだけ。春眞は終わった?」
「うん。さっき言ってたところなんだけどこのデータ。これについての考察に対する根拠となる論文とか資料を探しなさいって。」
そう言って春眞は蓮にパソコンを見せる。蓮はパソコンを受け取り文章を流し見する。数分して自分の鞄から1冊本を出す。
「その箇所ね、俺はこの資料の引用を書いた。この本の第5章に載ってたよ。写真撮っておいたら?図書館から借りたから又貸しできないんだ。確かこの資料はもう1冊しかないけどそれも貸し出し中だったよ。」
「ちょっと借りるね。」
春眞は蓮から本を受け取り、第5章のページを開く。パラパラと本をめくり各当する文章を見つけ写真を撮る。
「春眞、連絡先交換しておこうよ。本は貸せないけど写真なら送れるから。」
「あ、えっとわかった。SNSでいいかな。」
「ID教えて。俺登録するから」
蓮はそういうとスマホを取り出しSNSを起動する。春眞もスマホを取り出し自分のIDを言われるままに教えた。
「OK、じゃあ今日の夕方までには送るよ。他にも必要な資料あったら言って。探すから。」
「うん、ありがと。俺は今日バイトあるから帰るよ。じゃあね。」
春眞は荷物を全て鞄へ入れて席を立つ。蓮に手を振り図書室を出て行った。
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