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第4話
賞金稼ぎは一人殺して一人前ということわざがある。
そこいくとギャングは十人殺した上に十人抱いてようやく一人前と認められるらしいとは呉哥哥の談だ。あの人の言うことだから九割九分九厘嘘だろうが妙な説得力が伴うのを渋々ながら認めざるえない。
俺は半人前もいいとこだ。
殺した数はさておき、まだ一回もオンナを抱いてねえ。二十年ちょい生きてきたが一回もだ。
そう、俺は童貞だ。当たり前だ、オンナ苦手なのにオンナ抱けるかっての。さりとて男色に走る趣味もねェ、掘るのも掘られるのもごめんだ。自分の恋愛対象および性的対象が男か女か、なんて一度もだれかに惚れたことねえからハッキリわからねえ。
世の中にゃノンセクシュアルだかアセクシュアルだかってマイノリティがいて、他者に対して性的欲求や恋愛感情をさっぱり抱かないんだそうだ。きちんと診断を受けたことがねえから確信は持てないが、ひょっとしたら俺も該当するかもしんねえ。
二十年ちょい人間やってりゃ世の中の大半はちょっとした惚れた腫れたすったもんだを経験してるはずで、相手が男だろうが女だろうが大人だろうが子供だろうが現実だろうが非現実だろうが、それとはまったく無縁に生きてきた俺は、人間としてどっか欠けてるんじゃないか時々不安になる。
かといって、女と結婚して家庭を作る未来なんてとてもじゃないが想像できない。自分がどんな顔でガキを抱くかアンタ想像できるか?俺はできねえ、逆立ちしたって無理だ。二親揃った平凡な家庭ってヤツを俺は知らねえ。
俺にいたのは、あの人だけだ。
芯から歪みきった可哀想な女。
「はァ……だりー……」
メンソールの爽快感が喉を冷やして鼻腔に抜ける。
呉哥哥の無茶振りはいまに始まったことじゃねえ、とっくになれっこだ。あの人はそうやって周囲を試して愉しんでる。
『はあ?なんで俺が』
『適任だから』
『自分で行きゃいいじゃねっすか』
『俺様ちゃんはこー見えて忙しいの、片付けなきゃいけねーお仕事が山ほどある。そんでお前をご指名だ』
『たった今まで暇をもてあましてたくせに……ていうか回りくどいっすよ、いちいち組合通して接近するなんて。力ずくで拉致……は乱暴っすけど、コイツに下心があるならフツーに近付きゃいいんじゃ』
数日前の事務所での押し問答を思い出す。諦め悪く食い下がる俺に、立てた人さし指を「チッチッチッ」と鳴らし、もったいぶって念を押す。
『わっかんねーかな俺様ちゃんの善意が。いまいちぱっとしねーお前に手柄をくれてやろうって言うんだぜ、もっと喜べ。残念ながら仕事で手がはなせねえ俺様ちゃんに代わって、お前がツバメちゃんとパートナー組んでマブダチになる。好都合にもあちらさんは崖っぷち、このチャンスを逃したらあとがねえ。お前は相棒のフリしてツバメちゃんを探る、一緒に事に当たって麗し~い友情育むんだ。野良ツバメは大したはねっかえりで、周りに人を寄せ付けねえって評判じゃねえか。でも仕事なら別、どんだけ相手が気に入らなくたって我慢する。そこに付け込む隙ができる』
片頬笑んで絵図を引く呉哥哥を疑心暗鬼で見返す。
本当だろうか?どうにも都合よく聞こえる、そんなにうまくいきっこねえ。本音が顔に出てたのか、呉哥哥が野良ツバメの載ったページを手の甲でくりかえし叩く。
『コイツがどんなヤツか、お前自身の目で確かめてこい』
どの程度面白いヤツか。どの程度使えるのか。
呉哥哥は精力絶倫の快楽主義者だが、下半身に脳移植した色狂いじゃない。公私混同で部下をパシらせるアホでもない。俺は机の前に立ち、おっかなびっくり、せいぜい低姿勢にお伺いを立てる。
『スカウト考えてるんすか』
呉哥哥は意味深に笑って答えない。肯定。
もう一度じっくりとページを見直す。
呉哥哥が野良ツバメにただならぬ興味をもっているのは事実だが、それは性欲にとどまらない。
きっと一目見て勘が働いたのだ、コイツは伸びしろがあるぞ、よそに唾付けられる前に引き入れたいと。
この手の勘にかけちゃ異様に冴えてるのが、底辺から叩き上げで今の地位を掴んだラトゥルスネイクだ。
野良ツバメのルーキーらしからぬ傍若無人っぷりと目覚ましい実績は、実力のある若造が大好きな呉哥哥の食指をそそるのに十分だった。
『ツバメちゃんをブチ犯してェのはホント、このキレイな顔を涙と洟水とザーメンでぐっちゃんぐっちゃんにしたらたまらねえだろうな。けどな、中身が伴ってなきゃだめだ。実際会って萎えた、なんて興ざめだろ?そこでお前の出番だ劉ちゃん、コイツがホントに俺様ちゃんの遊びに足る相手なのか、俺様ちゃんを満足に至らせる骨のある男なのか、ちょっくら値踏みしてこい』
『いや、ちょ、簡単に言ってくれっけど』
『あー。そうかわりぃ、オツムのわりぃお前にもわかりやすくたとえるとだな、万一おっぱじめようってその時ンなって風俗嬢の穴とサイズが合わねーなんてなったらどっちらけじゃん。だったらその前に子分に当たらせたほうが無駄がねーじゃん』
『たとえが下品すぎてちょっと何言ってっかわかんねーんだけど』
おもわず敬語を忘れるレベルで動揺が広がる。
呉哥哥は背凭れに背中を沈め、
『盛ってるんじゃなく、ここに書いてあることが事実ならすげェ快挙だ。ここ十年来のルーキーの中でもダントツの逸材。三か月足らずで500万ヘル級の賞金首を5人、この数字がマジにマジなら今頃あっちこっちからスカウトが殺到してるだろうさ。フリーなんだろコイツ?決まった相手がいねえ今が狙い目だ。けど噂ってなァ往々にして一人歩きするもんだ、はたして俺様ちゃん直々に腰を上げる価値があるかどうか、それを見てこいって言ってんの。この手のタイプに真っ正面から行っても撃沈だ、プライドが高いかんな。搦め手で攻めたほうが力量はかれるてなもんよ』
そこで一呼吸おき、共犯を抱きこむようないたずらっぽい表情を作る。
サングラスを通していても、腹の底をなぜられるような狷介な眼差しにぞくりとする。
『―で、搦め手でいくならお前が一番だ。嘘吐きはお手の物だろ』
呉哥哥は俺の使い方をよく理解している。
俺という人間の本性を底まで知り尽くしているのだ。
上司の言い分をわかりやすく訳すとこうだ。
コイツが使えるかそうじゃねえか、ハードな遊びにも耐えらえるかタマかどうか、直接出向くのはかったりぃから代わりに行って調べてこい。
野良ツバメに大いに興味はあるが幹部とあろうもの尻軽に動けないから、気安く顎で使える下っ端(俺)をパシらせ、勧誘のまねごとさせようって魂胆なのだ。
ホント、建前に性欲が絡むと始末が悪ィ。
『回りくどい?ハハッ、仕込みはハネてごろうじろってね』
即戦力となる新人はどの業界でも引く手あまただ。
実際蟲中天には賞金稼ぎを兼ねる構成員が多く在籍し、おもに荒事方面の第一線で活躍している。
野良ツバメは凄腕のナイフ使いで近接戦闘に天才的なセンスを見せる。雑誌に掲載された内容が真実なら、先の抗争で前衛陣を大量に失い、戦力の補充に躍起になってる蟲中天がほっとく手はない。殺し屋は常に募集中だ。
有能な若手を囲って前衛を厚くしたい上の思惑に、ぽっと出の野良ツバメはぴたりとはまる。
そんなこんなで満を持して送り出されたものの、俺はブルーだ。
元から人付き合いは上手くない。呉哥哥がわざわざ俺をご指名したのは、手のこんだ嫌がらせじゃねえかと疑っている。
呉哥哥のコネのおかげか、よっぽど他に組みたがる自殺志願者の物好きがいなかったのか、予定通りヤング(ストレイ)スワロー・バードの相棒役に振り当てられたが、もうすでに胃が痛い。
勧誘とか絶対無理。なんでギャングとかやってんの?自分でも謎だ。そろそろ足洗いたい、いやマジで。そんで来世に転職したい。
「はァ~……このままふけちまおうかな……」
大の大人としてダメダメな願望を煙に乗せて吐きだす。足も自然と重くなる。
待ち合わせ場所へ向かうのが憂鬱だ。調査の基本を踏襲し、事前に嘗てスワローが組んだ女……同業の賞金稼ぎ……に会ってきたのだが、その時の話が滅入る一方の気分に重しをのせる。
哀しいかな、心底かったるくても上には逆らえない。逆らえばあとが怖いと体に叩きこまれている。昼間の繁華街は妙に色褪せて元気がなく、人通りも疎らだ。初顔合わせとあって、余計に緊張する。
足元に転がる空き缶を軽く蹴飛ばし、ズボンのポケットに手を突っ込んでぼやく。
「大体さ、無茶振りなんだよ……俺が女ニガテな童貞コミュ障だって知ってんだろ、いや童貞カンケーねーけど、断じてカンケーねーけど……なんだってアイツの気まぐれに付き合わされなきゃなんねーの、かわいこちゃんに唾付けてェならテメェがいけよ、俺にばっかめんどーごと押し付けてふんぞり返りやがって……死ね、マジで死ね。生卵喉に詰まらせて白目剥いて死ね」
哥哥がいぬまになんとやら、積年の恨みをこめた呪詛を陰々滅々と呟く。本人がいないとこじゃへりくだる必要ねえからタメ口でアイツよばわりだ。
この界隈はアンデッドエンドの中では比較的治安のいい繁華街だ。
なおここでいう「治安がいい」は一日の死者数がギリギリ10人未満ってことで、路地裏でドラッグが取引されてないとか、クラブのトイレでレイプがおきないってことじゃない。
本格的にネオンが入って賑わいだすのは夜からで、まだ時間帯が早すぎる。
化粧を落とした商売女の如く、そっけない素顔をさらす周囲の店を横目に角を曲がれば、唐突に空間が円くひらける。
石畳を敷いた広場の中心に、やたらと装飾的な巨大な噴水が鎮座している。
世界一無駄なレプリカといわれる、アンデッドエンドの名物だ。
もう知ってるたァ思うが、ここは途方もなくでっけえクレーター跡にできた街だ。
で、大戦前に栄えた元の街にゃ、あるお偉いさんを記念した噴水があった。
不動産業で巨万の財を成した父親をもち、そのカネでさんざん放蕩しまくったアホが、なんも市に貢献してねェくせに、死ぬ前にポンと寄付して「自分の銅像を建てろ」とだだをこねた。
市はもんのすげー悩んだ末そのカネで噴水を建設、一番後ろの目立たねえ場所に本人の像をこっそりおいた。
そんな笑い話のある名所の噴水も戦火で粉々なっちまったが、土ン中からひょっこり曰く付きの銅像がほりだされ、それもほぼ無傷の状態ときて、「なんてしぶてェんだ」「悪運を従えてる」と不謹慎に盛り上がった連中ができるだけ当時の資料に忠実に復元したのだ。
故にこの広場は、最強の悪運を招く場所……|悪運の法廷《バッドラックコート》と呼ばれている。
由来を省みるに賞金稼ぎにとっちゃ縁起のいい場所とされ、今もご同輩とおぼしき目付きのよくねェ連中が屯っちゃ、屋台のホットドッグを頬張ったり殴り合いをおっぱじめたりと思い思いの時を過ごしている。
青空へ上っていく紫煙を目で追い、惰性で裏に回る。
壮麗な白亜の噴水にはあぎとを開けた獅子の彫刻が飾られ、優美に湾曲した縁が美しい。
外観はチョコレートフォンデュの台座の如く三段式で、てっぺんの水盆が絶えず虹色のプリズムを孕んだ透明な水を噴き上げている。
噴水の裏側、曰く付きの銅像の傍らにガキがいる。
風船ガムをくちゃくちゃ噛んでは膨らませ、両手でナイフをもてあそんでいる。
右から左へ高速で受け渡し、手首を軽く撓らせて投げ上げ、虚空でキャッチ&リリース。まるでジャグリングだ。手に吸い付いてるようで、束の間見とれる。
「アレか……」
写真はピンボケだった。実物はもっと上玉だ。
太陽の光を受けて燦々ときらめくイエローゴールドの髪と、セピアを一滴落とし込んだ赤茶の眸。15にしちゃ背が高く、しなやかで均整取れた体付きだ。
ツバメのエンブレムが胸に刺繍されたスタジャンの下は黒いタンクトップと擦り切れたジーンズで、年季の入ったスニーカーを履いている。野良ツバメは実に退屈そうに、ナイフで一人遊びに耽っていた。
時折ぱちんと弾けるガムを指ではがして捏ね回し、再び口に放りこむ。
なにをしても絵になるヤツってなあいるもんだ。
奇妙な感慨を抱き、少し離れた場所で立ち尽くす俺に野良ツバメが気付く。
「アンタが劉?」
「お前が野良ツバメか」
いけね、うっかり蔑称のほう言っちまった。口を滑らした報いは、咄嗟に飛んで来たナイフだ。
「!!ッ、」
靴の先にナイフが当たってはねる。間一髪、足を引いてなけりゃあぶなかった。噂通り短気だ。のっそりと身を起こして歩いてきた野良ツバメは、「ふ~ん」と、頭のてっぺんから爪先まで不躾に俺を眺めまわす。その間もガムの咀嚼をやめねえのが不愉快だ。このクソガキ、小馬鹿にしきってる。
「チャイニーズって聞いてたけど」
「……そうだけど」
「髪と瞳は自前?」
「いろいろ雑ざってんだよ」
薄汚い茶髪の先端を引っ張り、ゴツい伊達眼鏡の奥、ドブのように濁ったダークブラウンの瞳を弱々しく伏せる。
容姿はコンプレックスだ。鼻梁に散ったそばかすは、結局大人になっても消えなかった。歯並びだけはガキの頃に矯正した。あの人は、そういうのをひどく気にしたから。
『女の子は歯を大事にしなきゃ。真っ白に磨くのよ』
『あなたは歯並びが汚いから、口を開けて笑っちゃだめ』
おかげでいまも口を開けて笑うのがへただ。
「チャイニーズ以外にも?へえ、どうりで……その笑える服はなんかの罰ゲーム?眼鏡は度が入ってねェな、伊達か。似合ってねーからやめたら?すげー痩せてっけどクスリ?ヤク中ならチェンジ。手首とかすげー細ェぞ、蠅が止まったら折れねェ?」
嫌な思い出がぶり返して黙りこくる俺をよそに、初対面のガキがずけずけ詮索を重ねる。遠慮という概念を知らない、清々しいまでの無神経っぷりだ。
なんにせよ距離が近い。
あんまりぐいぐいこられると、その、困る。
大股に距離を詰め、殆ど鼻先が触れ合う距離でのぞきこんでくるスワローにたじろいで、意味なく両手でおしとどめる。
「あのさ、俺達初対面じゃん」
「それがどうした」
「時候の挨拶とか自己紹介とか……いやまァそんなガッツリはいらねーけど、一応様式美じゃん。そんな一方的に根掘り葉掘り詮索されても参っちま痛てててててててて!?」
いきなり何してくれちゃってんだコイツ。俺の右手を唐突に掴み、手首を締め上げて口笛を吹く。
「けっこー根性あんじゃん。止まり木ぐらいにゃなりそうだ」
してやったりと笑うスワローをふりほどき、赤くなった手首をさする。俺は初対面でコイツが嫌いになった。大嫌いだ。いくらべっぴんだろうが、根性悪とは付き合いたくねェ。
前にコイツと組んだ女の話が脳裏に甦り、生理的な嫌悪感と警戒心が膨らむ。
「来るのおせーぞ、待たせんな」
「そんな遅れてねーよ、ちょうどだよ。お前が早くきすぎなんだよ」
「あァん?文句あっか、早くきてやったんだからそっちも合わせるのがスジってもんだろうが」
「そんなひん曲がったスジはしらねーな」
乾いた破裂音と共にガムが弾け、それを指先で摘まんで口へ入れ、呟く。
「ヤングスワローだ」
「劉」
「よし自己紹介は済んだ、とっとと行こうぜ。テキトーな店で打ち合わせだ」
素通りしかけた銅像を見上げ、顔に疑問符を浮かべる。
「このオッサンえらい嫌われっぷりだな。なにやったんだ」
「この街にきたばかりだっけ。んじゃ知らなくても無理ねえか」
「もったいぶんなよ」
「あー……早い話金持ちのわがままだよ。たんまり寄付してやっから死後に銅像たてろって駄々こねた、親の遺産食い潰しただけで貢献なんざ一個もしてねェのに。で、仕方ねぇからいちばん奥に建ててやったのさ」
「そんなに銅像欲しいもんかね。鋳溶かして贋金作りに回したほうが世の中に貢献しそうだ」
「貢献の使い方は間違ってるが、概ね賛成」
なんだ、意外と気が合いそうじゃん。
ぶっかけられたペンキが乾いてサイケデリックに染まり、猥雑な落書きにまみれた銅像を見上げるガキが、無意識に懐をさぐって舌打ち。
「煙草もってねえ?」
ヒトにモノ頼む態度かよ。「すまねえけど」とか付けろよ。
よっぽど注意してやろうかと思ったが、年の離れたガキ相手にいちいちキレるのも不毛だ。大人になれよ俺。きっと反抗期なんだ、だれにでもある粋がりたい年頃ってヤツだ。
煙草の貸し借りで男の友情が芽生えることもないとはいえない。最低限のスキンシップは人間関係を円滑に進めるコツだ。
俺は何かの罰ゲームと言われて内心ちょっと傷付いてるシャツの内側から潰れた箱を掴み、一本頭をだしてガキに差し向ける。
真新しい煙草を摘まんで口へもっていき、ライターで火を付けて美味そうに一服。ちょっと仰け反った顎と喉仏のラインがキレイだな、と見とれる隙もなく、額に熱源が生じる。
「!!?ッあっぢ、」
目の前のガキが、即座に真ん中から煙草をへし折って投げ付ける暴挙にでたのだ。軽く火傷した額を両手で押さえ、しゃがみこんで悶絶する俺の背後で、ほんの数分前に会ったばかりのガキが理不尽に怒り狂ってる。
「ッざけんな、メンソールじゃねえかよ使えねェな!煙草っていやタンブルウィード一択だろうが、メンソールなんてふかすヤツの気が知れねえぜオカマになっちまうぞ喉スース―して気色わりぃ、ハッカはピリピリして嫌いなんだよ!!」
「~~~煙草やるくせにお子様舌かよ、なんだよその理不尽な屁理屈……!」
「穴埋め?代打?ハッ知るかってんだ、ほんの束の間だろーが俺様の相棒名乗ろうってんならモクの好みくらいちゃんと把握しとけ」
これからコンビ組もうって初対面の人間にナイフ投げるわ罵倒するわ借りた煙草をへし折ってヤキ入れるわ、やることなすこと無茶苦茶だ。
衝撃の出会いからたった五分で、俺はコイツが大嫌いになった。
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