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23 オーシャンビュー
崖の上にあるホテルは、全室オーシャンビューらしく、窓からキラキラと海が見えた。窓辺に駆け寄り、窓を開ける。隣の窓や外からは見えないよう、角度が付いていた。
「良いじゃん、海。最高」
「へー。部屋は普通だけど、良いな」
背後から近づく良輔の方を向き、首に腕を回して引き寄せる。
「なんだよ。普通じゃないほうが良かった?」
俺的にはSMコンセプトの部屋でも良かったけど。
ニヤニヤしながら唇を寄せると、良輔は「バカ言え」と言いながら唇を重ねる。
唇を何度も軽く合わせ、次第に舌を伸ばし角度を変え、何度もキスを繰り返す。
「ん……」
俺はキスしながら、その場でシャツを捲り上げた。風が気持ちいい。
脱ぎ始めた俺に、良輔が頬を赤くして「おい」と窘める。
「ここでしよ。良輔。野外っぽくて良いじゃん」
「……」
良輔は押し黙ったが、否定はしなかった。無言で俺のベルトに手を掛け、引き抜く様子を見るに、同意のようだ。
あっという間に裸にされ、窓から注ぐ光に肌が晒される。
「……」
良輔がごくりと喉を鳴らす。興奮する様子に、こっちまでドキドキしてきた。
「良輔も、脱いでよ。俺だけ恥ずかしいだろ」
「……ああ」
そう言って、良輔もシャツを脱ぐ。太陽の下で良輔の身体を見るのは、初めてだった。ドキドキと、心臓が鳴る。思わず手を伸ばし、胸に手を当てた。
「渡瀬……」
甘い声で名前を呼ぶ。互いに生まれたままの姿で向かい合い、身体をまじまじと眺める。同じ男なのに、不思議だ。良輔の身体は魅惑的で、キスしたくなるし、触りたくなる。
興奮を圧し殺して息を吐く。
「お前の身体、興奮する……」
呟かれ、カァと顔が熱くなる。同じことを考えていた。それに、俺に興奮すると。
良輔の手が身体を撫でる。
「肌、綺麗だ……。乳首も可愛いし、おへそも……」
「んっ……」
「お尻も――……ここも」
良輔の手が腰に触れる。ハートの痣に触っているのだと気づいて、なんだか恥ずかしくなった。
「ん、良輔っ……」
「俺以外にも知ってるヤツが居ると思うと、妬ける」
「――」
耳元に囁かれ、ビクッと身体が震えた。そんな風に、嫉妬してくれるなんて想ってもおらず、胸がざわざわとさざめいた。
(なんだ、これ……)
俺は、嬉しいんだろうか。良輔に嫉妬されて、嬉しい気がする。同時に、数多の男と寝てきた罪悪感が胸を締め付ける。
「……今からは、お前だけだし」
通りすぎてきた人の数だけ、後悔が疼く。刹那的な快楽に身を委ねた日々を、後悔したことなんかなかったのに。
「俺の、ものになったんだな……」
良輔の唇が、貪るように口に噛みつく。舌を絡め、唇を食み、唾液を絡め合う。良輔の手が腰から尻に延びていく。指先でアナルを擽られ、ビクンと膝を揺らした。
「あ」
ぬぷ、と指が入り込む。イタズラするように入り口をくちゅくちゅ弄くって、何度も指を出し入れされた。
「ん、ぅ……ん」
指が増え、中を拡げるように指を開いて、また閉じる。くぱっと開かれ、奥をぐちぐちと苛められた。
「あ、んっ、んぁ」
「渡瀬……、渡瀬、脚あげて。開いて」
片足を掴まれ、脚を開かされる。不安定な体勢に、俺は窓の柵を掴んだ。
指を引き抜かれ、いつの間にか勃起した先端を押し当てられる。立ったまま、というのは初めてだった。良輔とはベッドですることが多い。獣のような交わりに、興奮する。
ぬぷっと肉棒がアナルを貫く。柵を掴んだ手が白くなった。ぐぐっと押し込めるように挿入され、声が切れ切れになる。
「うっ、んっ、く……」
「渡瀬っ……」
荒く息を吐き、ずぷんっと奥まで挿入される。ドクドクと脈打つ感覚に、言い知れない充足感が胸を満たす。
「あ、あっ……、良輔っ……」
不安定な体勢のまま、弱く強く揺さぶられ、甘い喘ぎを漏らす。快感ばかりでない胸の痛みに、頭がおかしくなりそうだ。
揺さぶりながら、良輔の視線が下に注がれる。
「すげー、全部、見える……」
「う、んっ……、俺の、恥ずかしいの、全部……見て、良輔……」
「っ……」
小さく息を吐き、良輔が激しく揺さぶる。唇を吸われ、何度も貫かれた。
「あっ、あっ……良輔っ、良輔っ……!」
良輔の背中にしがみつき、俺はただ、良輔のことだけを感じていた。
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