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承・出逢ひ

 彼らの足下から何かを踏みにじる音がしたのだ。その音から察するに、花が手折られた可能性がある。  これでは母親の薬代はおろか、食費さえもない。  絶望に打ちひしがれる千景の目から涙が溢れる。 「返して、花を返して!」  やけになった千景は若侍に向かって突進する。反撃に出たその体は、けれどもあっさりと捕まった。 「大切な花はお前の足下だ」 「可哀相に。ぐちゃぐちゃでもう売り物にならないぜ?」  自分は母親と生きることさえも許されないのか。  悲しみのあまりいよいよ立っていられなくなった千景は膝を折る――その時だ。 「いい加減にしないか」  男の声がした。  彼もまた、自分たちと同じくらいの年齢だろうか。声に張りがある。

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