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破・助け船
「――――」
後に残ったのは、自分の身に何が起こったのか判らない千景と、母親のお仲だ。
「千景、無事か?」
尋ねられ、はっと我に返った千景は、そこでようやく取り立て屋との会話を思い出した。
千景は虎次郎が金子を用立ててくれたのだと察した。
「虎次郎様……あの、用立ててくださった金子は……」
千景は縋るようにたくましい虎次郎の胸元を手探りで掴み、尋ねた。
自分たち他人の問題で借金の肩代わりををしてもらってはいけない。
首を振る千景に、彼の腕が丸まった千景の背を撫で、宥める。
「ああ、あれか。今まで使い道がなかったおれの小遣いだ。気にするな。お仲殿も無事だな?」
「はい、おかげさまで。金子まで用立ててくださり、ありがとうございました」
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