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第6話
聖の家は自宅から五分程の所にある。
同い年の従兄弟で、話も合いよく一緒に居ることが多い。
聖の家に行くとまだ聖の弟二人は帰って来てなくて、聖と二人でリビングに広げられたテレビゲームを早速始めた。
「…なぁ、親父さんに叱られた?」
「何が?別に大した事ねぇけど。」
「ふーん…。そろそろ昴 達も帰って来るし、部屋行かね?」
「…ん。だな。ぁ、お前の部屋に予備のカテーテル置いてなかったっけ?」
「たぶんあったと思うけど、持って来んの忘れたの?」
「…ぉぅ。取りに帰ったらまた親父に合いそうだし。」
聖の部屋に前に泊まった時に置いていた予備の導尿カテーテルを持ちトイレを済ませて、また部屋でゲームを始めた。
コンコン…
「こうにぃ、朔くん来てるの?お母さんが一緒にご飯食べにおいでだって。」
聖の末の弟の燿 が部屋に来て、夕飯に呼んでくれた。
しょっちゅう綾香おばさんの飯を食べて居るからか、俺用の茶碗と箸まで準備してくれている。
夕食後にまた聖の部屋でダラダラと過ごして、九時頃に帰ろうとすると、寝る前だった燿に『泊まって行ってよ。』とせがまれてしまった。
「ごめん。今日は帰るな。」
「…え〜、僕も遊びたかった。」
「じゃあ…またすぐに遊びに来るわ。そん時燿とも遊んでやるから。」
「分かった。朔くんまたね。」
「ん。おやすみ。」
ふわふわのくせっ毛頭を撫でてやると、大人しく部屋に入って行った。
「聖、またな。」
「おう!また明日。気おつけて帰れよ。」
聖の家を出てある人にメッセージを入れた。
《いつ空いてる?なるはやで。》
《どした?珍しいな。明日の午前中でもいいよ。》
《…考えとく。》
《まっちゃんがそろそろトレーニングしないかって話が来てるんだけど。それも考えといてな。明日来るならまた連絡して。》
そう…ある人とは主治医の秦 先生だ。
トレーニングか…まっちゃんに会いたくないな…。
まっちゃんって可愛い呼び名が着いてるけど、指導受けた子はみんな《鬼の松浦》って呼んでる。
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