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病院
翌日。
秦先生に病院に行くとは連絡したもののギリギリの時間まで渋っていた。
コンコン…
「朔〜そろそろ行かないと診察時間終わるよ。」
なかなか部屋から出ない俺を母さんが呼びに来た。
「ん〜……もうちょいで行く。」
ベッドでゴロゴロしていたが、母さんに急かされたのもあり気が乗らないが渋々病院に向かった
小児科の待合室には、診察に来たちびっ子で溢れていた。
その中に金髪で高校生の俺が居ると異様に目立つ。
「朔くん、尿検査先に済ませて来てもらえる?」
受付で診察券と保険証を提出すると、尿カップと包装されたカテーテルを渡された。
「このミリ数で合ってる?」
「…合ってます。」
「ここのトイレで、尿が取れたら小窓の所に出してね。終わったら受付に声を掛けてね。」
「…はぃ。」
個室トイレに入って、ズボンとパンツを下ろした。
家のトイレと違って広くて明るい照明に落ち着かない。
その上トレーニングしていた頃の記憶が過ぎるから、病院での尿検査がものすごく嫌いだ。
カテーテルを入れてカップの中に排尿すればいいだけなのだが、気持ちが沈み便座に腰を下ろして溜息が漏れた。
「…はぁ。帰りてぇ。このままばっくれようかな…。」
憂鬱だ…。
下は脱いだから後は消毒してカテーテルを入れるだけなのにやりたくない気持ちが勝り、足の間に力なく垂れ下がる陰茎の先の余った皮を掴みふにふにと弄っていた。
「…嫌でも…そろそろ導尿時間なんだよな。」
前回の導尿から四時間開いているから、当たり前だが尿も溜まっている。
ここで嫌だと籠城してても状況は変わらない。
「サクッと診察してもらってすぐに帰ろう。」
自分に言い聞かせるように頷き、便器の前に立った。
再び陰茎を掴み指で少しずつ包皮を下げると、ぷにゅりと伸びた皮から淡い桃色の亀頭が顔を出した。
剥けチンに憧れはあるが、留置カテーテルを入れている時ですら包皮で亀頭を覆っていないと、管を入れている辺りが特に擦れてヒリつく。
たぶん自己導尿している人は、剥けチンは苦痛だと思う。
俺も尿道口付近が敏感過ぎて自慰をする時も皮オナで、亀頭部分を摩るとすぐにイッてしまう。
これを素手で…とか怖くて未だにやった事がない。
だからいつも導尿の時の尿道口の消毒は、緩い手つきでちょんちょんだ。
こんなのを見たら、またまっちゃんに消毒が甘いって喝を入れられそうだけど…。
ジェルをカテーテルに着けてゆっくり尿道内に入れていく。
病院の潤滑ジェルは粘度が高いからか、自宅の物よりも入れやすい。
膀胱に到達した時のツンとした痛みが腰の方まで響く。
「…ッ!…なんでこんな痛てぇんだよ。」
カテーテルを通って出て来た尿を左手に構えていた採尿カップに採取しながら悪態をついていた。
常に留置カテーテルを入れておくのは楽で良いけど、アウトドア派の俺には邪魔でしかない。
だけど自己導尿の度に感じる僅かな痛みが、痛みに敏感な俺にはストレスでしかなかった。
親に導尿されていた時も苦痛だったが、自分でするようになってからは、ますます億劫になり排尿する間隔はどんどん延びていて、最近は平気で八時間とか空けてしまっていた。
採尿したカップを小窓に出しながら、何ともないことを祈った。
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