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第9話

電子カルテに入力していた秦先生は、ふと俺に向き直った。 「最近体重測った?」 「…ぃや、測ってねぇっすけど。」 「なら、今測ろうか。その体重計に乗って。」 秦先生に言われるがまま体重計に乗ると測定完了を知らせる電子音が鳴った。 「…また減ったね。最近ちゃんとご飯食べれてる?」 「…そこそこ。」 「三食?」 「……二食…。」 正しくは一食と間食を少々…。 「ふーん…。栄養剤の注入はきっちりしてる?」 うーわっ、めっちゃ疑いの目向けてくるじゃん。 そんなに体重減ってんの?! 「…シリンジでササッとすませる事もあるけど。」 「本当に量守ってる?先月からかなり体重落ちてるよ。今月の定期入院で体重戻そうか。いつからがいい?」 定期入院と言うのは、高濃度の栄養剤を二十四時間投与する為の入院だ。 だいたい二泊三日。 この間の栄養剤の注入は、直腸からチューブを入れて行う為かなりキツい。 その上排泄管理は完全に看護師か秦先生がする。 本当なら二週間に一度入院して、高濃度の栄養剤の注入を受けないといけないが、毎月俺が一回来ないから最近は纏めてしてくれていた。 ただそうなると毎日の栄養剤の注入が大事になってくるため度々指導が入っているのが今の現状だ。 「…来週の水曜辺り。」 「…そうだな。その辺で入院にしよう。 出来れば二週間毎で栄養剤入れたいんだけどなぁ。 今、成長期だから特にな…。」 「…俺、月一でも頑張ってんだけど。」 「あぁ、分かってるよ。普段の栄養剤の量も少し増やして様子みようね。 また来週ね。」 「…ゥす。」 荷物を纏めて診察室を出ようとすると、秦先生からまっちゃんの所に行くように言われた。 「ぇ、トレーニング…今日から?」 「どうだろうか?まっちゃんから話があるだけだと思うけど、一応トレーニングルームで待ってるみたいだよ。」 重い足取りのまま診察室を後にした。

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