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第19話
浬side
中一の俺は、休日で一日あった部活を終えて自宅に帰って来た。
俺の家は、五人兄弟で全員年が離れている。
上は十八歳から下は一歳だ。
「ただいま〜。」
リビングに顔を出すと真っ先に四男の匠が駆け寄って来て遊ぼうとせがんで来た。
だけどそれよりも気になっているのは、三男の朔だった。
テレビの前のラグに丸まって微動だにしないのだ。
「朔どうしたんだ?機嫌悪そうだけど…。」
キッチンで夕飯の支度をしている母さんと、その横でお茶を飲んでいた蒼に聞いた。
今日は病院の日で、その後トレーニングがあった筈だ。
いつもならトレーニングの疲れからか、帰って昼寝してからは機嫌がいいはずなのに。
「…前に尿道が狭窄してるって話してたろ?それで広げる為に器具着けて帰って来たんだよ。」
「ふーん…。」
ズボンの裾から尿道カテーテルも出ていた。
器具って…痛そ。
同じ男として毎回排尿には導尿が必要な事は、赤ちゃんだった頃から知っている。
処置も度々見ていたし。
今は自己導尿のトレーニングをしていて、そのストレスからかよく当たられる事もあった。
「たまに股に手が伸びてるから、二人も触らないように注意してやってね。」
「分かった。」
夕飯前にシャワーを浴びチビたちの相手をしながら、テレビを見ている時だった。
朔が突然大声を出し尚の体を突き飛ばしたのだ。
「ッ!乗んなやっ!!」
尚は突然の事で訳が分からずに泣き出すし、隣でテレビを見ていた朔はうずくまって泣いている。
「どうした?」
「…にぃ、がぁー!」
尚はいっちょ前に朔が悪いと主張し、ますます声を大きくして泣き続ける。
「…朔?腹痛いか?」
うずくまって動かない朔を抱えて様子を伺った。
「…ヒッ!……いだぁぁいぃ…尚が乗ったぁぁ!」
どうやら膝の上に尚が乗って来て、器具を着けた陰茎を圧迫されたらしい。
想像しただけでもゾッとする。
まだ一歳の尚には、朔の現状を理解する事はできなくて、ただいつもみたいに膝に乗って甘えただけに過ぎない。
だけど朔は不意打ちを食らったようなものだ。
痛い痛いと泣き続ける朔に陰茎に着けた器具がズレたのではないかと心配になる。
それは母さんも同じだったようで、ラグの上に仰向けで寝かせズボンとパンツを下ろした。
「うわっ!痛そ…。」
普段包皮に守られている朔の陰茎は、皮が下げられ亀頭の部分に器具先端にある輪っかが引っ掛けられ固定されていた。
しかも寝る時に入れる留置カテーテルが、その器具の中に入れられた状態だった。
器具がズレていた訳ではないが、包皮を剥かれ敏感な陰茎に棒を入れられその上を尚に座られたのかと思うと残酷すぎる事態だ。
そんなとんでもないハプニングに見舞われた朔は、その日は寝るまでずっとグズグズ泣いていた。
だけど翌日に松浦先生の所に行って帰って来てかは、器具を抜いてもらったお陰でご機嫌になっていた。
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