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第20話④
松浦先生の読み通り、尿道の拡張をしてからは朔のトレーニングの進みは早かった。
カテーテルが尿道に擦れる痛みは、僅かにあるようだが前ほどの苦痛は感じていない事が見て取れた。
「朔、おはよう。」
「松浦先生、おはようございます。
今日は排便がしずらいようで朝座薬入れてます。
機嫌が悪いんですけど、よろしくお願いします。」
お母さんに連れて来られた朔は、松浦先生の顔を見ようともせずに不機嫌さを露わにしていた。
トレーニングに一進一退はつき物だ。
出来たり出来なかったりを繰り返して、徐々に身につけていけばいい。
松浦先生は、機嫌の悪い朔を抱えてトレーニングルームへ入った。
「朔、ロッカーに荷物片付けて?」
突っ立ている朔に声をかけるが床にしゃがみこんでしまった。
座薬を入れたと言っていたから、その行動で悟った。
今、排便欲求が強いんだな…。
「朔、先にトイレ行ってみるか?お尻気持ち悪いんだろ?」
「……ふぅ…ン。……でも、出ない…し…。」
床で力み始める朔を抱えてトイレに入った。
便座に座らせて腹を摩ってやる。
朝に浣腸剤も使っている筈だから、少しでも出ると楽になるんだろうけど。
「…やっぱり出ない。」
「…だな。トレーニング中に出そうになったらすぐに教えてな?」
「ん…。」
朔と処置台に戻って来て、松浦先生が導尿の準備をする。
今日は特別だ。
処置台にバスタオルと防水シートを敷いて、排便欲求のある朔が万が一そこでしたくなっても大丈夫なように紙パンツも敷いてやり朔を座らせた。
「お尻が気になるな…。もし出ちゃっても大丈夫だよ。」
「ぅん…。」
医療用ワゴンに乗せた処置道具から、朔は自ら消毒の脱脂綿を取り尿道口の消毒を始めるまではスムーズに進む。
「…んぅ……っ…は、ふぅ……。」
座薬の作用で、肛門が緩んでいる為便が僅かに流れ出たのを感じ導尿に集中できない。
封を切りジェルを着けたカテーテルをせっかく手にしていたのに、トレーに戻しお尻に手を伸ばしてしまった。
「朔!…お尻は触らない。気持ち悪いかもしれないけど、菌がおちんちんに入ったらいけないからな。」
「……はぃ。」
松浦先生に叱られシュンと項垂れたが、お尻の下に敷いている紙パンツに便を出してしまいたくてトレーニング所ではない。
「朔、まっちゃんが便を掻き出そうか?まだ出そうで気持ち悪いんだろ?」
「……掻き出すのは嫌だ!…我慢…できる……。」
便を掻き出すと言うのは、肛門に指を入れて便を掻き出す摘便だ。
お尻を触ってしまった朔は、新しいゴム手袋に付け替えカテーテルを手にした。
最近では、カテーテルを半分まで入れるのにだいぶ慣れてきていた。
と言うのもあのブジーのお陰で狭窄している箇所が改善されたのと、尿道全体が少し広くなったためだ。
今日も尿道にカテーテルをスルスルと入れていけた。
半分を過ぎた辺りから陰茎を平行に持ち直し入れて行くのだが、この行き止まりに突き当たったようなコツっと響く痛みに毎回カテーテルを抜いてしまい中々膀胱に達する事ができない。
「朔、おしっこを出すにはまだ奥に進めないといけないぞ。」
「…知ってる。……ぁ、う…んち…漏れた。」
尿道にカテーテルを入れる時に緊張で、お腹に力を入れたからか紙パンツに水様便が漏れ出てきていた。
慌てて紙パンツからお尻を離し膝立ちになった朔のお尻には、便が付着してしまっていた。
「便が着いちゃってるな。シャワー室行こうか。」
「…ぅん。」
シャワー室で下半身を綺麗に流し、処置台に戻って来たが朔の機嫌は更に悪くなった…。
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