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第26話

母side 「なぁ…母さん。腹の具合い悪ぃ…。」 軒先に洗濯物を干していると、ソファーに深く座り背もたれに頭を預けている朔に話かけられた。 「どんな風に悪い?…お腹痛いの?」 普段は絶対に体調不良の申告なんてして来ないのに珍しい。 入院前で不安なのかな…。 「…ん〜、別に痛くはねぇけど。秦先生に…調子悪いって言ったら栄養剤の注入無くなるかなぁ。」 曖昧な体調不良を伝えて来た朔は、学校を休みたくて仮病を使う小学生に見え笑ってしまった。 「…なんで笑うんだよ。」 「ごめん、ごめん。栄養剤は無くなるか分からないけど、調子悪いならちゃんと秦先生に伝えなね。」 「……ん〜。…行きたくねぇ。…俺明後日まで監禁されんのか…。」 監禁って…。 まぁあながち間違いではない気もするけど、言葉のチョイスがなぁ。 「嫌だろうけど、栄養剤入れてもらった方が身体が楽になるよ?まだグダグダ言いたいなら車で聞いてあげるから荷物持って。ほら、行くよ。」 ちんたら後ろをついて来る朔を急かし、助手席に乗せて車を走らせた。 車内で愚痴を聞くって言ったものの、朔は緊張からか無表情で口を閉ざしたまま病院に着いてしまった。 「…着いたよ。受付行くよ。」 動く気ないなぁ…。 デカくなっても変わらない朔の病院嫌いに助手席に周り、車内から引っ張り出した。 伊達に男の子五人を育てている訳じゃない。 取っ組み合いの喧嘩の仲裁にも幾度となく入り、学校に行きたくないと駄々を捏ねられれば引きずってでも連れて行った。 朔の場合は主に病院だったけど…。 院内に入ると、人目が気になるのか自ら受付に行った朔。 正直、ここで駄々捏ねられるとは思ってはいないけど、その姿に安心した。

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