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第28話

やっぱり腹の具合悪いなんて言わなければ良かった。 男性看護師であろうと、他の人に処置をされる程屈辱的な事はない。 洗腸を断ろうと思いながら、のろのろと着替えていると、山添さんが医療用ワゴンを押して戻って来てしまった。 「あれ…まだ着替え終わってなかったのか。」 「なんか腹の調子戻ったかも…。洗腸しなくていいよ。」 「え?…そんなすぐ良くなった事ないだろ。お腹張ってるのも気になるから、とりあえず一回洗腸しような。着替え終わったら横向きで寝転んで。」 テキパキとベッドに防水シートを敷いて洗腸の準備を始めてしまう山添さん。 「…俺自分でするから、そこ置いといて。」 「さ〜く、入院する時の約束なんだったか覚えてるよな?先月の話だから忘れた?」 「……忘れた。いいから置いといて。」 我ながら誤魔化すの下手だよなぁ。 でも人にされるの嫌なんだよ。 入院すんのも排泄管理までされるから嫌だったんだよ。 「ぁ、そう?忘れてるならもう一回復習しようか。入院中の排泄処理は看護師か先生に任せる。さん、はい。」 「…はぁ……入院中の排泄処理は看護師か先生に任せる…。」 俺が覚えている事を知っていてからかい復唱させてくる。 「そう言うこと。また忘れたら覚え直そうな?」 にこりと意地悪く笑って、ベッドをトントンと叩き寝るように指示してきた。 俺は、盛大なため息を吐くと、仕方なく防水シートに尻が来るように横になった。 その背後で山添さんがゴム手袋を嵌めるパチンとした音が響いた。 「山添さん、管奥まで突っ込まないで。俺管入って来る感覚苦手…。」 「知ってるよ。…まさかとは思うけど、いつも奥までちゃんと洗腸できてない?サボってる訳じゃないよな?」 「……サボってねぇ…し…。」 「ぇ、なに?語尾が小さくなってるんだけど。まぁ、いいわ…チューブ入れるなぁ。」 尻の肉を割り開くと僅かにひんやりとした空気を蕾に感じて、ヒクリと蕾の筋肉が収縮した。 「ゆっくり息吐くよー。…そうそう、上手く力抜けるね。いいよ。」 固くすぼまった蕾に消毒の脱脂綿が触れ、その冷たさに腰がびくりと揺れた。 緊張で上手く力の抜けきっていなかった俺に声をかけ、腰の辺りを優しく撫で擦り、蕾に潤滑ジェルが着いたチューブが当てがわれた。 ジェルの滑りを借りて、直腸の粘膜押し広げるようにしながらチューブが奥へと進んでくる。 その圧迫感を伴う異物に蕾が呼吸をするようにヒクヒクと収縮を繰り返し異物の侵入を拒む。 チューブの動きに腰から肩甲骨にかけてぞわりと悪寒が走り、仙骨の辺りまで来ると排便欲求が強くなり始め身を捩って抵抗した。 「っ、うぅぅ…気持ち悪ぃ。それ以上奥入れんな。ぁ…入れんなって!」 「はいはい。気持ち悪いもんなぁ。今半分まで入ったからな。」 「……なあ!マジで無理…自分でしたい。」 「嫌なのは分かってるから。ちょっと我慢な。……ん〜、結構奥の方に便固まってるな。この辺からお水流して柔らかくしていくな。お水入るよ〜。仰向けに体制替えようか。」 山添さんに言われ渋々仰向けになると、タオルケットを下半身を覆うようにかけてくれた。

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