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第34話
「……秦先生布団かけたい。」
「寒くなった?お腹だけかけな。」
「違う…ケツが見えてんのが気になんの。」
「あぁ…そうだよね。もう少し様子見たいから我慢してて?その後はかけてもいいから。」
いつもはすぐにかけてくれんのに…。
バルーン膨らませるか見極めたいんだろうけど、俺は今丸出しの尻を隠したいんだよ。
そろそろ注入開始から10分が経とうかと言う頃、腸が溜まった液体を排出しようと不規則な動きをし始めた。
「ふぅ…はっ…ぁはぅぅ…ふぅん…」
「…出したくなって来ちゃったね。少し肛門触るね。ごめんねぇ。」
こっちは、排便欲求に必死で耐えてんのにグローブをはめた秦先生の指がギューと力の入っている肛門に触れた。
「ッぅあ!…はぁぁン…やめろって!」
「嫌だもんね。ごめんねぇ。少しチューブ抜け出てきてるから、肛門緩めよう。」
「…できる訳ねぇじゃん。こっちはうんち漏れそうなのに!」
実際には便は腹にないから出てこないけど、一度感じた排便欲求は直ぐには治まらない。
「やっぱりバルーン膨らませようか。力むの我慢できないもんね。」
「…いやだっ。…ハァ…ン今やるッ…からぁ…、はぁ…ふぅん、ン……はぁ…ふぅぅ…」
なんとか肛門の力を抜くことはできたけど、グルグルと唸りを上げる腹は、まるで下した時のようで足をモジモジと絡めたり、伸ばしたり曲げたりと忙しなく動かしてしまい大人しく寝とく事なんて到底できそうもない。
「こらっ!チューブは触らないよ。お尻に手を持って行くなら手袋付けるからね。」
排出しようと腸が動く度にじわじわとチューブが抜けてる気がして、お尻が気になりチューブを触ってしまい秦先生に抱き枕を抱えるように手を戻された。
手袋を付けると脅されてしまっては、抱き枕にしがみつくしか為す術はない。
「…はぁ、ン…出したいぃ…チューブ抜きたい。」
「…もう限界かな。朔、バルーン膨らませよう?排便欲求に耐えるのしんどいでしょ。」
「…ふぅン…はぁ…ムリ…ぁあ、先に出したい。やばい!漏れる」
「大丈夫、大丈夫。漏れないから。少しずつ風船膨らんでるから直腸の所苦しくなって来るよ。そのまま力抜いててねぇ。」
腰を摩って気を紛らわせてくれるけど、直腸内のバルーンが内圧を徐々に上げると、強く力みたい感覚が襲ってきた。
「…ぁあぁぁ…つらい…しんどい…出したいぃ…」
「そうだよね。出したくなるよねぇ。だけどちゃんと栄養が吸収されるように頑張ろうなぁ。また様子見に来るからね。」
栄養剤の注入が安定しているのを確認すると、部屋のカーテンを開けナースステーションから様子が見えるようにして出て行った。
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