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第40話
また1時頃から栄養剤の注入がある。
それまで病棟内を散歩して過ごし、陽当たりの良いロビーのソファーを陣取った。
座ってると肛門に入れられているプラグが、奥を突いて痛いからソファーに横になっていると、点滴棒を引く音が聞こえて、俺の背後でそれは止まった。
「……朔?」
「…ん?」
懐かしい声が聞こえて振り返ると、夕陽が俺を見下ろしていた。
「…久しぶりだね。調子悪いの?」
「別に…。休憩してんの。」
「ふーん、最近連絡して来ないから、どうしてんのかと思ってたけどちゃんと病院に来てたんだね。」
「…まぁな、来ないと先生うるせぇし。………キツいし…」
成長期だからか以前にも増して、秦先生が言うように定期的に栄養剤の注入をしないと、栄養失調のような状態になり日常生活が億劫になるほど、貧血や目眩や倦怠感を感じるようになっていた。
「分かる分かる。でも朔に久々に会えて良かった。なんか頭派手になってたけど。」
「ふっ…イケてんだろ?」
「ん〜、まぁ…似合ってはいるけど、校則引っかからないの?」
「引っかかる…毎朝生徒指導の先生と言い争ってるし。」
「朔らしいわ。」
久々に再会した夕陽と話していると、やって来るのが看護師だ。
「朔、ラコール出てるから飲んでね。」
「…ぇ、今?」
「今、夕陽と話ながらでもいいから、お昼までには飲み終わってね。」
山添さんが、補助栄養剤のラコールが入ったマグを手渡し去って行った。
ラコールとか最近飲んでなかったな…。
秦先生、マジで入院中に体重戻す気じゃん。
昨日から栄養剤といいどんだけ摂取させる気だよ。
チビチビとバナナ味のラコールを飲み始めた。
しかもちゃんと俺の好きな味を押さえてくる所はさすがだ。
「夕陽っていつまで入院予定?」
「ん〜、たぶん今週中は病院に居ると思う。まだ東雲先生から聞いてないけど。」
「じゃあ、暇潰しに駄弁ろうぜ。調子良い時はロビー集合な。」
「うん!そうしよ。」
パタパタと軽やかな足音がロビーに響き私服姿の男の子が走って来た。
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