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真似

「あれ、また片付けてくれたの? お前が来ると本当に毎日俺の部屋が見違えるねェ」 「閑さんもよく半日でこんなにできますね」 「いやァ」 「褒めてないですからね」  照れたように笑う閑さんにしっかり釘を刺す。どこに照れる要素があったんだ。今の嫌味だぞ、嫌味。  まあ、整頓の下手さはともかく、テーブルの上には美味しそうな料理が並んでいく。朝から少し豪勢すぎるような気がするそれは、「お前細すぎるんだから、俺のところに来る時くらいちゃんと食いな」と、至極まっとうな顔で言われたのに起因する。  親が基本家に居ない俺は自分なりに食べているつもりだけど、閑さんから見ると、そうではないらしい。ちなみに、俺から見て俺は別に細すぎることもない、と思う。身長に見合った体型だと、自負しているのだけど。 「ダメダメ。お前、セックスの時とかよく思うけど、本当に腰細すぎ」 「朝からセックスとか言わないでください」  俺も言ったけど。  どうしてこうも、この人は常識から外れたことをするのか。西条のお兄さんよりひどい。  そこまで思って、ふと気がつく。閑さんの髪型って──。 「西条のお兄さんに似てる……」 「真似してるからねェ」  色は派手だけど、と言って毛先を弄りながら閑さんは席についた。 「まァ、あの人の髪型はちょっと前髪が長くて邪魔だからヘアピンつけてるんだけどね」

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