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動揺

「あ、つぃ……」 「そりゃ、こんなにくっついてるしね」 「離れろ仕事しろ離れろ!」 「仕事より離れることが優先!?」  席に着かされたと思えば後ろからずっと抱きついてくるアホは仕事する気は皆無らしい。  別に離れれば後は縛り付けるなりなんなりすれば… 「神楽会長、動揺してますね。全部声に出てマス。あと桜和副会長がニヤニヤしてマス」 「っ!」 「何なに神楽、そういうのがスキ? でもそれなら縛られるのは神楽の方じゃない? ねぇ、真澄ちゃん?」 「うん! どうやっても神楽は受け顔だも──っむーっ!!」  何やら恐ろしいことを興奮気味に話す嗣川の口を塞ぐと、佐神はすこぶる不機嫌な顔で口を開いた。 「会長達に手が付けられないのにマスちゃんまで抜けたらツクちゃんは寝てるから実質俺とウサちゃんしか残らないんデス。仕事して下サイ」 「……むぁい……」 「さ、佐神くん……」 「んー?」 「あの二人、止めて……」 「ああ、会長たち? あっちは諦めるしかないデスね」 「じゃ、じゃあ月詠先輩……」 「え?」 「涎垂れちゃいそうなの……先輩が下敷きにしてる書類……」 「あぁ……」  ──バシィッ 「ぁたっ……」  鵜野のヘルプに快く応え、小気味よくスナップ音の効いた平手打ちを月詠に喰らわせている佐神。どうかこの変態の目も覚ませないものか。

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