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遊撃手

「かーぐらー、カッター取って?」 「……ん」 「どーも♡」 「………」  本当に、コイツの語尾に記号が付くのは何とかならないのか……。 「……って考えてるでしょ」 「!?」  全部顔に出てるーと言いながらケラケラ笑う様子はそれだけ見れば人畜無害なただの高校生だ。 「……なぁーに考えてんの」 「……っひ!?」 「あっはは! かーわぃー声♡」  後ろから耳元で囁かれて悲鳴が漏れる。ああ、失態だ。 「〜〜っ!」  ガタン! と大きな音を立てて立ち上がる。……立ち上がった筈。  ──ガッシャーンッ!! 「……っ」 「そそっかしいなぁ、神楽は」  バランスを崩した俺は、そのまま倒れそうになった。 「後ろから俺に抱きつかれてるのに、急に立ち上がったらそりゃバランスも崩すよ。それに、机の上にさっきのカッターが……って、聞いてる?」  桜和が咄嗟に腕を掴んで引き上げてくれたおかげでバランスを崩し、刃物が乗っかったままひっくり返った机の上にこける……ということはなかった。  ……代償なのか何なのか、桜和に向かい合って抱きつかれるような体勢になっているが。  身長差がとんでもないので俺はすっぽり桜和の胸の中である。 「……神楽ー? 頭から湯気出てるけどー……煙? もしかして既に全焼?」  その言葉でハッと我に返り、ジタバタと暴れだす。……身長の差は筋肉量の差も物語っている。無念。 「あのォー」  声のした方を見ると蚊帳の外状態だった佐神がヒラ、と手を挙げていた。 「マスちゃんはニヤけ、ウサちゃんは怯え、ツクちゃんは居眠り。作業が全く進みまセン」  ※要約:イチャつくのはよそでやれ。 「「………」」  ……生徒会の遊撃手……。

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