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痴態
「ねーぇー神楽ァーごめんったら、ねーぇー!」
「煩い!! あんな痴態を晒させた挙句そう簡単に許されると思うな!」
「かぁーぐぅーらぁー」
ああああぁぁああぁああああ!! うるさいわ煩わしいわ鬱陶しいわしつこいわ何なんだコイツは!
何故こんな事になっているかといえば、時はほんの数分前──…………
「お、ぃ……退け」
「嫌」
桜和の目に本能的に身の危険を感じた俺は早々に本気で逃走行動に移ろうとした。
──ぐっ
「──っ……!」
容赦無く押さえつけやがってこの馬鹿力……痛いっつってんのに……。
正直もう多少怪我をしてでも机をひっくり返して逃げることまで逃走パターンとして頭には浮かべていた。
そのくらいマジで逃げないと今の桜和からは逃れられない気がした。
──ちゅぅっ
「ひにゃっ!?」
「ん、出来た」
………抵抗も虚しくアッサリ首筋に吸いつかれてるけど……。
「神楽いい匂い……何だろう……花? みたいな……甘い匂いする」
「どっこ、嗅いで……っん」
髪とか首とかワイシャツの襟元を寛げられて鎖骨のあたりとか無遠慮にぺたぺた触られて嗅がれてたまに吸われて……。
………嫌じゃない自分に腹が立つ。
「──……っぁ!」
ぐり、と。なんの前触れもなく乳首が押しつぶされた。
多分桜和にも想定外のことだったんだと思う。ひどくびっくりした顔でこっちを見つめていた。
「え……かぐ、ら……?」
「……っ~~~っっっっ!!」
あまりの羞恥心に無理やりどうにか不自由な体を動かしてどんどん熱くなっていく顔を隠す。
失態……ッ!
「……やばい……降参」
すっと手をはなされて起き上がると壁に寄りかかってズルズルと座り込んでいた。
あー、とかうー、とか言ったと思ったら何かぶつぶつ言い始めて、途中から色々と不穏というか不健全というかとにかく人前じゃ言うのを憚られる単語が聞こえた……気がする。
──そして現在…………
「ねぇってば神楽ァー聞いてよ ねーぇー」
「うるさい引っ付くな! 大体痕なんか付けてどうしてくれる!? きちんと一番上までワイシャツ閉めても見えるところに付いてるんだぞ!?」
「見えないところなら許してくれた?」
「誰が許すかぁっ!!」
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