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ハプニングその2

「ご飯出来たわよ〜」  ニコニコ上機嫌で料理を運んでくる母さん。料理好きだし、いつもより作る量の多い夕食は嬉しいのか。 「わぁ! 美味しそー……やっぱりおばさんの料理すごいね!」 「あらぁ、レミちゃんのお母さんだって上手じゃない? 私は絵里さんの料理好きよ?」 「んー、そうなんだけど……何ていうのかなぁ……フィーリング?」 「ふふふ、レミちゃん面白いわねぇ」  皿を運ぶ手伝い中の麗美。母さんにめちゃくちゃ懐いていて、俺と麗美ではどっちが本当の子供か分からない。 「神楽のお母さんってだいぶのんびりタイプなんだね」 「ああ……」  母さんはフランス人とのハーフで、金髪碧眼、白めの肌。フランス人の女性、背は低めだけどスタイルは抜群だし、身内贔屓じゃないけど、………美人。とても高校生の息子がいるようには見えないと思う。  そして性格は桜和の指摘通りのんびり。取り巻く雰囲気は春みたいなふわっとしたもので、街に出れば幾らでも声を掛けられる。  息子としては、結構複雑だったりする。 「いただきます」 「「「いただきます」」」  母さんが言うのに続いて手を合わせ、箸を取る。  今日は白米とかぼちゃの煮付け、鯖の塩焼き、金平ごぼう、キャベツの味噌汁で、純和食な夕飯だった。 「美味しいです」 「嬉しいわぁ……沢山食べてね」 「はい」  ニコニコと笑う桜和の綻んだ口元は『いい笑顔』。だけど、それが素の笑なのはすぐに分かる。『いい笑顔』も、こいつには種類があるのだ。 「どうしたの、神楽。何かついてる?」 「あ、悪い………何でもない」  クスクス笑ってる桜和。絶対確信犯だ。  ふふ、と嬉しそうな母さんの笑い声がして、そっちに顔を上げるとにっこにこした母さんがいた。 「……………何……」 「恋人同士みたいねぇ」 「っっ!?」  ハプニングその2、母親(天然)。

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