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変化

「神楽?」 「近い!」 「いや、一人用のベッドに男子高校生が二人も乗っかってんだから当たり前だよね」  俺たちは風呂を上がった後、麗美に色々問い詰められて桜和がある事ない事話そうとするので早々に退散してきて、まだ10時前に二人で布団に入っていた。 「だいたい、さっき風呂で俺に擦り寄ってきたのは何処の誰?」 「そ、っれは……!」 「はい、てことで ぎゅーっ」 「わっ、な、にが『てことで』だ……っ!」  いきなり抱き寄せられて心拍数が一気に上昇する。いちいち心臓に悪い。 「あー……やっぱ甘い匂い……シャンプーの匂いも違ったし香水なんてつけてないし……何、神楽って天然でこんな甘い匂いなの?」 「知るかっ! 人の匂いを嗅ぐなバカ桜和!」  とは言っても、俺も抱き寄せられているせいで必然的に桜和の匂いがする。  父さんの着てなかった服を借りて着ている桜和も、うちで使っているボディソープとかとは違う……シトラス?みたいな匂いがした。 「……もう寝る!」 「オヤスミ〜」  頭を撫でられて、背中を規則的に叩かれながら少しずつ微睡む。 「……神楽、何か最近ちょっと変わったよね」 「……そう、か?」 「うん……何だろうな……特に何ってわけじゃないけど………」 「……」  好きって気持ちを認めて、ちょっと自分に素直になりすぎている節があるのは気付いている。  病院に行ったあの日に桜和を頼った。  わかっていて、わざと桜和が抑えられなくなるような煽る言葉を言った。  今日だって、前までなら和音さんが何だろうときっと桜和をそのまま家に帰した。  風呂で桜和に擦り寄ったのも、紛れもない事実。  少しづつ、俺が変わってきている。 「……お休み、神楽」 「ん………」  ちゅ、と額にキスをされて俺は眠りについた。

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