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発端
そもそもの始まりは、まだあいつが中1だった時だから、んー……丁度4年前、だねェ。懐かしいなァ。あの頃の伊吹はまだ前髪も短くて、今より活発だったよね。
俺と伊吹が出逢ったのは、その『4年前』。俺は高3に進級、伊吹は中学に進学して……秋。
駅前の道からちょっと外れたところで絡まれてる男の子見つけたからちょっと助けてあげたんだよね。まァ、それが伊吹。
その時はもう夜も遅くて、中学生が出歩くような時間じゃなかったんだけど。
何故かそこにいた伊吹は、ガッタガタに震えてて、──あ、絡んでたのは三人くらいの女だったんだけど──対人恐怖症みたいになっててさァ。
大丈夫かって声かけたら、何度も大袈裟にコクコク頷くのが面白くて。
ついつい―踏み込んじゃったんだよねェ。
え? やっぱり俺が原因じゃないかって?
違う違う。ちゃんと最後まで話聞いてよォ、マスミちゃん。まだ話は終わってない。それどころか、まだ始まってすらいないよ。
踏み込んだって言うのはァ、単純にどうして夜遅い時間に中学生が真新しい制服着て駅にいるのかを訊いたってこと。そしたらあいつ、何て言ったと思う?
『大事な幼馴染みの想いに気付けないで、傷つけてしまったから』
今だから思うけど、その幼馴染みって、マスミちゃんだったのかなァ?
あー、心当たりあるんだァ? 告白でもした? ま、何でもイイけどねェ。
さて、せっかちなマスミちゃんお待ちかねの、事の真相だよ。
伊吹はね、あの時こう言ったんだ──……。
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