88 / 103

予想外

 結果から言うと、彼は 「ありがとうございます」  身勝手な被害者面を晒すことも、 「もし、よければなんですけど」  喧しく泣き喚くこともしなかった。 「また、してくれますか?」  ──気持ち悪い、と思った。  無機質な瞳はいつも暗かった。笑うこともあったけど、その瞳が笑顔を冷笑に見せた。  それほどまでに彼を『殺す』のはやっぱり、『幼馴染み』という奴が原因なのか。  気持ち悪い。だけど、離れ難い。突き放し難い。  面白いじゃん?  じゃあ、もし──もし、俺がその『幼馴染み』のことをキッチリ片付けてあげたら、どうなるのかな?  もし、俺を好きになっちゃったりしたら、面白いな。  だって、その時にはきっと、俺は君に飽きてるから。  顔はきれいだし、密かにヒトの判定基準に入れている髪質も良好。カラダの相性もいいから俺的にはドストライクだけど、やっぱ一番は何かって言ったら、その〝暗さ〟だから。  それがなくなったら、用済みかな、って。  そう、思ったんだけど。

ともだちにシェアしよう!