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日本人らしい日本人
〈真澄side〉
聞き終えた私は、多分すごく腑抜けた顔を晒していたと思う。
「何か……閑さんって、意外と日本人らしい日本人なんですね」
「ちょっと待ってそれどう言う意味」
「いや、閑さんには日本は狭いんじゃないかと思ってて」
スペインとかそういう情熱の国に生まれた方がいい人種なんじゃと。
「マスミちゃんは俺をなんだと思ってるの」
最低な大人ですけど、とは言わないでおく。
「……ま、わかりました。いいですか、閑さん」
ビシ、と人差し指を突きつけ、身を乗り出す。閑さんは少し仰け反って頷いた。
「『和を尊ぶ日本人』だとか、『以心伝心』なんて言葉がありますけど、エスパーじゃないんですから、言葉にしなきゃ何もわからないんですよ。人類が何の為に言葉を生み出したと思っているんですか」
「……言葉にはしてるよ」
降参、と言うように両手を顔の横まで揚げ、横を向いてぼそぼそと抗議する閑さん。ガキか。
「屁理屈捏ねないでください。言葉にして、伝えて、理解してもらうまでの過程が必要なんです」
「……ガラじゃない」
「まだそんなこと言ってんですか。会えなくなるかもって言ってるのに」
「……っ」
はぁ、と溜め息をついて座りなおす。
「いいですか、一回しか流しませんからね」
「何、」
「聴いてたらわかります」
『再生しますか?』の問いに『はい』で答える。
「これを聴いてもまだ何もしないというのなら、もう伊吹に近寄らないでください」
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