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奥から2番目
「かーぐらー」
昼休み、早くに弁当を食べ終わって暇を持て余していた俺のところに、桜和がやってきた。
「風見先生に頼み事されちゃってさぁ。ちょっと手伝ってくれないかなーって」
「どんな?」
「教材室の奥から2番目の棚に埋まってるCDROMを見つけてほしいって」
「………」
完全雑用だろ、それ。
しかも教材室っていったら汚いで有名だし。今、「埋まってる」って言い切ったし。
チラ、と廊下の壁掛け時計を見れば、昼休みが終わるまであと10分だった。
「……予鈴までに見つかると思うー?」
「……微妙」
「だよね」
そもそも奥から2番目の棚にたどり着く前に床に置いてある資料を片付けなきゃいけないと思う。
「ま、これはそんなこと頼んだ風見先生が悪いってことで」
「何言ってるんだ。間に合うように急ぐんだよ」
「えー」
えーとか言うな。
人を道連れにしといて授業サボるとか最低すぎるだろ。あと、俺は授業に出たい。
そうしているうちについた教材室は、鍵をあけて中に入ると予想通り足の踏み場もなかった。
「……どうしてこの学校の先生って片付けが下手なんだろうね」
「職員室のデスクは綺麗なんだけどな」
どれが必要なものでどれが要らないものなのかさえ判別のつけられない有様だ。
「あーもー……取り敢えずよけてけばいいよね」
「ちょ……っそんな適当に並べたら……」
「もともと汚いんだしどうひっくり返しても一緒でしょ」
ひょいひょいと脇に重ねていく桜和。高さが俺の身長と同じくらいの山が6つくらい出来たところでようやく奥まで行けるようになった。
「んー……CD……ROM……ないなぁ」
奥から2番目の棚、というのが二つあって、俺と桜和で手分けして探すけど見つからない。
「そもそも必要なものを埋めるっていうのがおかしいだろ……」
「うん、それは同意かな。使うなら取り出しやすいところに置いとけって感じだよね」
真面目に見当たらない。
「……本当に奥から2番目の棚なのか? そもそも教材室なのか?」
「ちょっ、そこ疑っちゃう!? ホントだよ、2回も確認したんだから」
「………」
じゃあ何でないんだよ。
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