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恋愛情事*

 今日の閑さんはとにかく優しく努めようとしてくれた。  ……俺の黒歴史と引き換えにちょこちょこ余裕なく求めてきたりもしたけど。 「ぁ、あー……しずか、さん…っそれ、やぁ……や、です…っ」 「んー? 何でェ? キモチ良さそーだけど」  ゆるゆると焦らすようにゆっくりと腰を引く閑さん。ただ優しいっていうのは語弊があったかあもしれない。正確には『いつもより』優しい。 「っひ、ぁ……んんぅ……っあ!」 「んーふふ、いーとこ当たっちゃったァ?」  もう、本当、恥ずかしい。とにかく恥ずかしい。  初めてまともにセックスの最中に閑さんの顔を見た。  いつもより声が抑えられない。  時折、思い出したみたいにキスが降ってくる。  耳元で何度も閑さんが「好きだよ」って、「愛してるよ」って囁いてくる。  全部全部初めてで、恥ずかしくて、何かが溢れ返りそうになる。  胸の奥から、いちごミルクみたいに甘くて可愛いピンク色のいかにも「恋してます」って感じの幸せな何かが溢れてきそうだ。  『ああ、恋愛ってこういうことか』と、4年前に捻くれた恋愛観が少しずつ元に戻っていく。  幸せ、だ。 「……っは、ぁ…………閑、さん……っ!」 「んー?」  どうにかその想いを言葉にしたくて、少しでも腰の動きを止めてくれないかと名前を呼んで身体を押し返すけど、この馬鹿力、そんなの何処吹く風という体で動き続ける。仕方ない。 「……ぁ、っす、き……です…………っ好き、閑さん、大好き……っ」  愛しています、とは、そこまで口が回らなかった。 「……っうん、俺も、だよォ」  閑さんが泣きそうな顔をした気がしたのは、気のせいだろうか。

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